カバレフスキー:24の子供のためのやさしい小品
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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カバレフスキー:24の子供のためのやさしい小品 | 24 Petites Pieces Op.39 | 作曲年: 1944年 出版年: 1945年 初版出版地/出版社: Muzgiz |
作品解説
子供のための作品を数多く作曲したカバレフスキーの1844年に作曲した小品集。カバレフスキーが40歳の時の作品である。すべての曲にテンポを指示する表記と、標題が付されている。
第1曲目は<歌>。4分の4拍子のアンダンテ。ハ長調で書かれており、僅か8小節の短い小品となっている。「ド・レ・ミ」のみから構成された右手のメロディーを左手の全音符の和音が支える。
第2曲目は<かわいいポルカ>。4分の4拍子のモデラート。第1曲目の<歌>と同様にハ長調で書かれており、僅か8小節の短い小品となっている。この曲では、左手が「ド・レ・ミ・ファ・ソ」から構成されたメロディーを弾き、右手が四分休符に挟まれながら和音を刻む。
第3曲目は<行進曲風に>。4分の4拍子のテンポ・ディ・マルチャ。この曲はニ短調で書かれている。同じく8小節の作品であるが、第1曲目と同様に、「移動ド」読みをすると、右手のメロディーが「ド・レ・ミ」のみから構成されていることがわかる。
第4曲目は<子守歌>。4分の2拍子のアンダンテ。ホ短調で書かれており、やはり8小節の作品となっている。そして、左右のユニゾンのみで構成されている。
第5曲目は<遊戯>。4分の3拍子のアレグロ・アッサイ。変ロ長調で書かれている。この曲で初めて3拍子が登場し、また、全22小節と曲の長さがやや長くなる。左右の手が交互に弾くため、一度に鳴る音は一音となっている。また、スタッカートが支配的な作品である。
第6曲目は<小さなスケルツォ>。4分の2拍子のアレグロ。ハ長調で書かれている。左右の手が6度の並進行をする曲で、全16小節から成る。
第7曲目は<おかしな出来事>。4分の3拍子のマルカート。全24小節から成り、ト長調で書かれている。第5曲と同様に左右の手が交互に弾くため、一度に鳴る音は一音となっている。尚、右手が、先行する左手をそっくり真似するカノンの形で構成されている。
第8曲目は<メロディー>。4分の4拍子のアンダンテ。ニ短調で書かれている。左右のユニゾンによる8小節の音楽である。後半で、調号にあるロ音の「フラット」が「ナチュラル」に半音上げられていることが特徴的である。
第9曲目は<踊り>。4分の4拍子のアレグロ。全12小節から成り、ヘ長調で書かれている。右手のメロディーを左手の和音が支える構造となっている。第5曲目と同様に、スタッカートが支配的な作品である。
第10曲目は<行進曲>。4分の2拍子のアニマート。ハ長調で書かれているが、全16小節の中でハ長調→変ホ長調→ハ長調と調の変化が見られる。また、単旋律の部分、左右のユニゾンの部分、左右の手が調和する部分が交替に現れる。
第11曲目は<秋の歌>。4分の2拍子のアンダンテ・カンタービレ。ロ短調で書かれている。全24小節のすべてが、左右のユニゾンで演奏される。
第12曲目は<じょうだん>。4分の2拍子のアレグロ。ハ長調の調号で書かれているが、全16小節の間、三和音と上下に並行させながら音楽を紡ぎ出す。
第13曲目は<ワルツ>。4分の3拍子のモデラート。ニ短調で書かれており、全32小節とやや曲の長さが長くなっている。この曲で、これまでに比べ、息の長いスラーが付されるようになる。そのようにしてたっぷりと歌われる右手のメロディーには、左手の和音が添えられる。
第14曲目は<昔のおはなし>。4分の2拍子のモルト・アレグロ。全12小節から成るイ長調のこの作品では、中間部で、イ短調に移旋する。8分音符を主体としているが、これまでよく見られたような左右のユニゾンではなく、左右の手が常に別々の音を弾く曲となっている。
第15曲目は<フーガ>。4分の3拍子のアレグロ・ジョコーゾ。ハ長調で書かれている。全24小節から成るこの曲では、左右の手が同じメロディーを異なるリズムで弾くヘテロフォニーの手法が用いられている。
第16曲目は<かなしい物語>。4分の3拍子のアンダンテ。ホ短調で書かれている。全24小節から成るこの曲は、3部形式の構造を持つ。その両端の部分では、左手が息の長いメロディーを弾き、右手がオブリガートのような役割を担う。一方、中間部では、左右の手が13度で並進行をする。
第17曲目は<昔の踊り>。4分の2拍子のアレグロ。ニ長調で書かれている。全32小節と、これまでに比べやや長めの曲となっている。大きく分けて前半と後半から構成されている。そして、各々を更に前半と後半とに分割することができる。つまり、「a-b-a’-b’」となっている。「a」では左手が、「a’」では右手が先行する。また、「b」及び「b’」は、左右の手による10度の並進行が特徴的である。
第18曲目は<ギャロップ>。4分の2拍子のヴィヴァーチェ。ハ長調で書かれており、全24小節から成る。音階的な音の動きを中心とした右手に、和音を主体とした左手が添えられている。
第19曲目は<前奏曲>。4分の4拍子のモデラート。ト短調で書かれており、全20小節から成る。音階的な音の動きによる左手に乗り、右手が分散和音と音階的のとの動きを組み合わせたラインを紡ぐ。
第20曲目は<道化師>。4分の2拍子のヴィヴァーチェ。イ短調で書かれている。8、9、 8小節の3部形式の構造を持つ。嬰ハ音とハ音、嬰ト音とト音といった半音の変化を特徴的に提示する右手のメロディーを、左手の躍動的な8分音符が支えている。
第21曲目は<即興曲>。4分の3拍子のアンダンテ。ニ短調で書かれており、全34小節から成る。左右のリズムが半拍分ずれて提示される部分と、拍節に従った部分とが交互に現れる。
第22曲目は<ノヴェレッタ>。4分の2拍子のアレグレット・レッジェーロ。3部形式の構造を持ち、全50小節とこの曲集の中では比較的長い曲となっている。イ短調のこの曲では、メロディーを左手が歌う。それに対し、右手は左手の上声で、小節の頭の8分休符が特徴的な重音を弾く。
第23曲目は<ゆるやかなワルツ>。4分の3拍子のアンダンテ・トランクィル。イ短調で書かれており、全40小節と第21曲に引き続き、この曲集の中では比較的長い曲となっている。「a-b-a-a’」の2部形式の構造を持つ。そして、右手のメロディーを左手が支える形がとられている。
第24曲目は<たのしい旅>。この曲集を締めくくりは、4分の4拍子のコン・アニモのホ長調で書かれている。各々が8小節から成る「a-b-a」の3部形式の構造を持つ。右手の快活なメロディーを左手が支える形がとられているが、両端の部分では和音で支えられるのに対し、中間部では分散和音で支えられる。
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