12音音楽の確立とは? わかりやすく解説

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12音音楽の確立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 00:08 UTC 版)

アルノルト・シェーンベルク」の記事における「12音音楽の確立」の解説

1910年代後半シェーンベルク大作ヤコブの梯子』に挑むが、第一次世界大戦召集されたためにその他の多く作品と共に未完のままに終わった。同じ頃、弟子ベルク歌劇ヴォツェックOp.7完成するシェーンベルクらと始めた無調主義による傑作オペラ登場である。無調主義次第市民権持ちはじめると共に無調という方法に、調性代わる方法論の確立必要性考えるようになっていった。それが12音音楽であった12の音を1つずつ使って並べた音列を、半音ずつ変えていって12個の基本音列を得る。次にその反行形音程関係を上下逆にしたもの)を作り同様に12個の音列を得る。更にそれぞれを逆から読んだ逆行作り基本音列の逆行形から12個の音列を、そして反行形逆行形から12個の音列を得ることで計48個の音列作り、それを基にメロディー伴奏作るのが12音音楽である。一つ音楽使われる基本となる音列一つであり、別の音列混ざることは原則としてない。したがって、この12音音楽基本となる音列が、調性代わるものであり、またテーマとなる。そして音列作っている限り音楽としての統一性自然と得られる仕組みとなっている。 この手法でシェーンベルク最初に書いたのが、全曲12音技法書かれた『ピアノ組曲op.251921年1923年)の「プレリュード」(1921年7月完成)である。作品番号では『5つのピアノ曲op.231920年1923年)が先立っているが、12音技法による第5曲ワルツ」は1923年2月完成とされている。ヴェーベルン1924年、『子どものための小品』の中で12音音列を使った作品書きベルクもすぐにその技法部分的にとり入れた。 ただし、12音の音列による作曲法シェーンベルク独創とは言えない。ウィーン同僚であったヨーゼフ・マティアス・ハウアーが、シェーンベルクより2年ほど前にトローペと言われる12音の音列による作曲法考案している。1919年ハウアー作曲したノモス』は、最初12音音楽と見なされている。この年シェーンベルクはこの作品自身演奏会紹介しているが、ハウアー12音音楽創始者であることに固執したこともあり、シェーンベルクと、その理解者ベルク弟子でもある哲学者音楽学者テオドール・アドルノ2人から酷評される。また、1930年代ナチスの台頭により退廃音楽家として排斥され戦後再評価されるまで全く忘却されてしまったこともあり、ハウアー1920年代果たした役割過小評価されていることは否めない弟子ヴェーベルン音楽パラメータごとに分解してトータル・セリエリズムへの道を開き形式上繰り返し否定し変容強調したのに対しシェーンベルク無調ながらもソナタ舞曲など従来形式踏襲している。また初期無調音楽部分的に機能和声説明できるものが多くマーラーツェムリンスキーなど高度に複雑化した和声により調性あいまいになっていた後期ロマン派音楽伝統歴史延長線上に位置する厳格アカデミックな(ただしかなり偏った解釈でもあった)教育方針古典作品徹底的なアナリーゼ基礎としていた。12音技法開拓後はリズム形式面で古典回帰顕著で、彼自身新古典主義との係わり避けることは出来なかった。 美術はじめとする芸術一般に興味持ち相互に影響したシェーンベルク描いた表現主義的な『自画像』は(メンデルスゾーンなどと同じく画家としての才能示している。ロシア画家カンディンスキーシェーンベルクピアノ曲演奏風景そのまま印象コンサート1911年)』という作品にしている。

※この「12音音楽の確立」の解説は、「アルノルト・シェーンベルク」の解説の一部です。
「12音音楽の確立」を含む「アルノルト・シェーンベルク」の記事については、「アルノルト・シェーンベルク」の概要を参照ください。

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