03系・05系のチョッパ装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 04:12 UTC 版)
「電機子チョッパ制御」の記事における「03系・05系のチョッパ装置」の解説
03系車両の高周波分巻チョッパ装置の主チョッパ装置側 上写真の反対側。艤装簡略化のため機器は1台に集約されている。突起のある右半分が界磁チョッパ装置で、左半分がチョッパ装置の心臓部にあたるゲート制御ドライブ (日立製作所) 03系・05系用はシステムは基本的に01系用の装置を1,500 V用としたものである。ただし、この2形式では艤装や保守の容易化、さらにMT比 1:1 で従来のチョッパ車並みの性能を実現させるために大きな改良が加えられている。 この1,500V用の装置は1987年(昭和62年)2月に東西線において5000系車両に試作した制御装置を搭載し、本線試運転を実施して実用化の試験を行った。なお、03系は05系の開発途中に日比谷線の輸送力増強が必要となり、急遽製造された形式である(帝都高速度交通営団車両部 1989)。 床下機器ではチョッパ装置を主チョッパ装置、ゲート制御部、界磁チョッパ装置や周辺機器などを1台の機器箱に集約することで、艤装の簡略化およびメンテナンスの容易化を図った。素子には電機子・界磁ともに1,500V用として4,500V級のGTOサイリスタを採用した。チョッパの合成周波数は1,800Hzと01・02系より低く抑えられている。 制御装置は心臓部であるゲート制御部を16 bitマイクロコンピュータ (マイコン)とIC論理ロジックへの大幅な置き換えがされており、有接点部を減少させて装置の小型軽量化と無接点化を図った。 主回路は前述した高性能マイコンによる全デジタル制御の採用で、以下の制御機能が導入されている。 電動車の各車軸速度を検出し、マイコンで速度差や加速度・加速度変化率を瞬時に比較演算をし、空転制御を行うことで最大限の粘着を行う「高粘着制御」の導入。 上り・下り勾配および曲線など路線条件によって変化する加速度を限流値内で補正し、一定の加速度を引き出す「加速度一定制御」の導入。 この高精度のアダプティブクリープ制御(資料によってはアンチスリップ制御)によって粘着性能を19.1%に向上させ、MT比 1:1 で毎秒起動加速度3.3 km/hを実現させた。 前述の通り、分巻チョッパ制御は営団地下鉄で積極的に採用を進めた。しかし、営団でも在来路線において1991年(平成3年)度に東西線05系第14編成と南北線9000系にVVVFインバータ制御が初めて採用され、1992年(平成4年)度から06系・07系を最初にVVVFインバータ制御の本格的な採用が始まり、同年度で本方式の採用は終了となった。なお、分巻チョッパを採用したいずれの4形式とも1993年(平成5年)以降に落成した車両はVVVFインバータ制御が採用されている。 日本の電車で、この分巻チョッパ制御を採用したのは前記した営団地下鉄の4車種のみである。新交通システムとしては横浜新都市交通(現・横浜シーサイドライン)(金沢シーサイドライン)1000形、広島高速交通「アストラムライン」6000系で採用されている。
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