音楽的特徴、エピソードなど
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 00:42 UTC 版)
「AC/DC」の記事における「音楽的特徴、エピソードなど」の解説
60年代末から70年代にかけて隆盛を誇ったハードロック、ことに「ブルースを基調とした骨太でソリッドなロックンロール」の部分をよりプリミティヴに抽出し徹底させた音楽を志向し、デビューから現在に至るまで硬質かつ武骨にしてシンプルなロックンロールを中心に演奏し続けてきた。いわゆるハードロックバンドには珍しく、極めてタイトなミッド〜スロー・テンポの楽曲が非常に多く、なおかつそうしたリズムでありながらもその高揚感はいささかも減じられない。長きにわたって変節のない質実剛健な音楽性が特徴で、時にブルース調の曲を演奏するものの、モーターヘッドと同様に昔も今もほとんど変わっていない。 70年代末、パンク・ロックブームに沸くイギリスでは、それ以前に活躍したハードロックバンドがオールドウェイヴと揶揄され消えていく中、AC/DCは生き残ることに成功する。それは、バンドが熱狂的なファンをイギリス全土で獲得していたためだが、ファンや音楽誌などからオリジナル・パンクと同一視されたという側面もあった。特に、ライヴでのパフォーマンスはパンク的な印象が強く、ボン・スコットのパフォーマンスはセックス・ピストルズのジョニー・ロットンを強くイメージさせた。一方で、アンガス・ヤングは観客に向かって尻をさらすパフォーマンスで悪名高かった。また、高い演奏技術や凝った楽曲への志向をことさらに露にすることよりも、創世記のロックンロールのワイルドさに忠実であろうとするAC/DCの音楽性は、パンクロックと相性が良かった。ラモーンズのジョーイ・ラモーンをはじめとして、AC/DCを敬愛するパンクロッカーも多い。 1980年前後には「世界で最もコンサートで死者を出しているバンド」とギネスブックに認定されていた。 1973年にデビューして以来、楽曲やライヴでのパフォーマンスなどによって欧米にも人気を広げていったが、1980年に、ヴォーカルのボン・スコットが急死し、危機に立たされる。しかし、新ヴォーカリスト、ブライアン・ジョンソンを迎えて発表した『バック・イン・ブラック』は、世界的に空前の大ヒットを記録し(前述の通り、結果世界でのセールスは、バンド/グループのフルアルバムとしては歴代2位、全体ではマイケル・ジャクソンの『スリラー』に次いで3位、アメリカだけでもそのセールスは2500万枚を超えて歴代第5位)、次作『悪魔の招待状』 では初のビルボード1位を獲得するといった活躍を見せる。だが、今日でも全米チャートの上位常連であるが、日本での人気は欧米ほど高くなく、また、彼らの全盛期であった1980年前後、日本ではクイーンのような、ルックス的にも音楽的にも華やかなバンドが人気で、AC/DCのような武骨なバンドは人気がないというバンド側の先入観もあり、2001年の来日公演は実に19年ぶりであった。マーティー・フリードマンは、来日した際にAC/DCの評価が低いことに驚いたと語っている。 アンガス、マルコム、ブライアン以外は幾度かメンバーチェンジが行われたが、90年代に初期メンバーに戻った。 多くの同業者から尊敬を集めるバンドであり、キース・リチャーズやピート・タウンゼント、スティーヴン・タイラー、オジー・オズボーン、ニッキー・シックス、リッチー・サンボラ、スラッシュ、カート・コバーンほか、日本では草野マサムネ、トータス松本、甲本ヒロト、斉藤和義など世界中のアーティストが影響を受けている。 映画『スクール・オブ・ロック』では、エンディングが「It's a Long Way to the Top」のカヴァー(演奏したのは同映画のキャスト)、劇中で「バック・イン・ブラック」が使われた他、主人公のステージ衣装やギターがアンガスを意識したものであった。「It's a Long Way to the Top」はドロップキック・マーフィーズやレミー・キルミスターにもカバーされているが、ボーカルがブライアンに交代してからはライブでは演奏されていない。 数年前から世界的なムーヴメントとなっている、ガレージロックの音楽的なルーツの1つでもある。 ヤング兄弟が使用するギターは、アンガスはギブソンのSG、マルコムはグレッチと、デビューしてから一筋である。 バンドのロゴマークなどは、Tシャツなどに多用されており、テレビ番組の衣装などでも度々見られる。 2004年10月1日には、縁の地・メルボルンにあるコーポレーション通りという名前だった通りが、彼らの功績を称え、敬意を表して、同市議会によってACDC通りと改名された。これより前の2000年3月22日にも、スペインのマドリード近郊の住宅街レガネスにバンドに因んだ同名の通りが作られたため、AC/DCの名が付いた通りは、現在までに世界で2つ存在している。 ブライアン・メイは、「クイーンをやってなかったらAC/DCに入りたかったかな。でも、残念ながら、僕じゃサイズも形もあのバンドにはふさわしくないと思うよ。というのもクイーンとは全く違うからね。クイーンっていうのはものすごくいろんな影響を折衷するバンドだったからさ。僕たちはそれこそありとあらゆるジャンルの分け隔てを踏み越えていったんだからね。でも、AC/DCっていうのはそういう意味じゃ対極にあるバンドなんだよ。奴らには自分たちのスタイルのなんたるかがわかってるし、それはとてつもなく純化されたもので、僕はそれにすごい敬意を感じてるんだよ。連中の鳴らす音は一音一音が完全なAC/DCになってるんだ」と高く評価している。
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