音楽的特徴と音楽の目的
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/29 04:11 UTC 版)
「音楽の哲学」の記事における「音楽的特徴と音楽の目的」の解説
音楽がいかにして音楽になりえるのかという問題についても多くの議論が続けられている。もちろんそれぞれのリスナーがそれぞれに音楽を解釈することはできる。しかし一方で、各ジャンルの音楽がそれぞれに感性的な特徴を持っていると言う考えも一般的である。このような種々の音楽を規定しまた生み出す特徴・本質というものが音楽それ自身に内在するものなのか、あるいはどれ程文化的な影響を受けているのかということがここでの根本的な問いである。このような問題に対し神経生物学や進化心理学また音楽民族学などの学問が少しずつ答えようとしている。ヒトはおそらく特定の音の集まりと特定の感情を文化的な条件をベースにして結びつけているのではないか…。しかし一方でいくつかの基本的なタイプの「音の集まり」が快・不快な感情を文化的条件とは関係なく、つまり「自然に」人間にもたらすことも事実である。また音楽の起源についての疑問もある。音楽を最初に進化論の枠組みの中で考えようと試みたのはチャールズ・ダーウィンだった。彼は1871年に書いた本「人間の進化」で次のように語っている。「音階やリズムは人類の祖先が異性の気を引くために獲得したものである」。今日、音楽の進化について活発な研究がなされている。いくつかの証拠はチャールズ・ダーウィンの仮説を支持するものであり、音楽は異性との関係を獲得するために用いられた、という説、また他には、音楽は原始文化のなかで社会的組織やコミュニケーションのために利用されたという説も提案されている。いくらかの先進的な進化心理学者たちは、音楽は進化論的適応目的を持っているわけではない、と主張している。ハーヴァード大学の心理学者スティーブン・ピンカーは、何か他の目的のために脳の「感じやすい部分をくすぐる」ために音楽が利用された、とし、1997年に出た彼の本「How the Mind Works(心の仕組み)」でピンカーは音楽を「聴覚的チーズケーキ(チーズケーキはヌード写真など異性を誘惑するものの俗語)」と呼び、以来、反対の立場を取る音楽学者や心理学者の議論を呼んだ。
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