神経生物学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/12 08:42 UTC 版)
生物学の理論的基礎は、現代の自然科学の多くがそうであるように、根本的に物理主義的である。研究対象は、まず第一に、物理的過程であり、これが心的活動や行動の基礎であると考えられている。心的現象を説明することについて生物学があげる成果は増え続けているが、このことは生物学がその基礎に据えた「脳状態の変化なくして心的状態の変化はない」という仮定を否定する経験的反駁がまったくないためであると見なされている。 神経生物学の分野には、数多くの下位分野があり、それらは心的状態と物理的状態や物理的過程との関係と関連がある。 感覚の神経生理学は、知覚過程と刺激過程の間の関係を研究する。 認知神経科学は、心的過程と神経過程の相関関係を研究する。 神経心理学は、心的能力がそれぞれ、脳の特定の解剖学的領域に依存していることを示す。 最後に進化生物学は、人間の神経システムの起源と発展を研究し、心的現象の発展を最も原初的な段階からはじめて、個体発生と系統発生の観点から描き出す。 神経科学の方法論的な突破口(ブレイク・スルー)、とりわけハイテクである脳機能イメージング技術の導入のおかげで、科学者たちは増加する野心的な研究プログラムを洗練させることに取り組みだした。主要な目的(ゴール)のひとつは、心的機能に対応する神経過程を描写し把握することである(「神経相関」を参照)。デュ・ボア・レーモンやジョン・カリュー・エックルスのようなごく一部の神経生物学者たちは、心的現象が脳過程に「還元」される可能性を否定しているが、その理由は部分的には宗教的なものである。しかし、現在の神経生物学者であり哲学者であるゲルハルト・ロートは、一種の「非還元主義的唯物論」を擁護している。
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