陸上風力発電
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 09:39 UTC 版)
イギリス最初の商用風力発電所は、1991年にコーンウォール州のデラボールに建設された。タービン10基で構成され、それぞれ最大400kWの発電能力がある。これに続き、1990年代初頭には小規模ながら着実な成長が見られ、毎年5か所ほどの発電所が稼働していった。 より大規模な風力発電所はウェールズの丘の上に建設される傾向があり、例としては、Rhyd-y-Groes、Llandinam、Bryn Titli、Carnoなどがある。北アイルランドおよびイングランドの丘や湿原にも小さな発電所が出現した。1995年末に、スコットランドで最初の商業用風力発電所がハグショー・ヒルで操業を開始した。 1990年代後半には、同産業が成熟するにつれて持続的な成長が見られた。2000年に、1MWを超える電力を生みだせる最初のタービンが設置され、再生可能資源を使って一定量の電力を生む法的要件を満たすべくスコティッシュ電力やスコティッシュ&サザンなどの大規模電力会社がさらに関与するようになったことで、成長のペースが加速し始めた(再生可能エネルギー義務(RO)を参照)。風力タービンの開発は急速に進み、2000年代半ばまでに2MW +のタービンが標準となった。2007年に、ドイツの風力タービン製造会社エネルコンが最初の6MWモデルE-126を設置した。2009年に技術的な改訂が行われた後、名目上の容量は6MWから7 MWに変更され、2010年には7.5 MWに変更された。 より大きな農場とより高いマストに設置されたより大型でより効率的なタービンとで成長は続いた。スコットランドで人口のまばらな丘陵地や風の強い田舎は、開発業者に人気の地域になり、イギリス最初の100MW超の発電所は、2006年にサウス・エアシャーのハドヤード・ヒルで稼働した。 2006年には、3MWタービンが初めて使用された。2008年には、イングランド最大の陸上風力発電所となるスカウトムーア風力発電所(en)が完成し、スリーブ・ルシェン風力発電所(en)の再稼働により北アイルランドで最大の発電所が誕生した。2009年、スコットランドのイーグルシャム湿原にてイギリス最大のホワイトリー風力発電所(en)が稼働した。これはタービン215基で構成される539MWの風力発電所である。スコットランドの丘にはさらに100MW以上の風力発電所を建設することが承認されており、3.6MWのタービンを搭載する予定である。 2013年9月時点で、イギリスには稼働中の陸上風力発電所が458ヵ所あり、合計で6,565MWの名目容量がある。さらに1,564MWの容量が現在建設中であり、別の4.8 GW案件では計画合意となっている。 2009年、イギリスの陸上風力発電所は7,564 GWhの電力を生成した。これは、イギリス国内の総発電量(378.5TWh)に対して2%の貢献にあたる 一般的に大規模な陸上風力発電所はナショナル・グリッド社と直接接続されているが、小規模の風力発電所は地域の配電網に接続されて「embedded generation(直訳:組み込んだ発電)」と呼ばれている。2009年には、風力発電容量のほぼ半分がこの組み込みタイプだったが、より大規模な風力発電所が建設されるに従い、これは今後数年で減少すると予想されている。 陸上風力発電所の計画許可を得るのは困難であり続けており、多くの案件がシステム設計に行き詰まっていて、却下率が高い。RenewableUKの数字は、計画の許可待ちとなっている約7,000MWの陸上案件があることを示している。平均で、風力発電所の計画申請には地方自治体の検討に2年かかり、承認率は40%である。これは、住宅、小売店、道路といった他の主だった申請と比べて非常に芳しくないもので、その70%は法定期限内の13-16週間で決定される。風力発電所ではその割合が僅か6%である[要出典]。全ての風力発電計画申請のうち約半分にあたる4GW超の案件は、レーダーへの影響という理由のため空港および交通管制からの反対がある。2008年、NATS(英国の航空管制サービスを手掛ける大手企業)、BWEA(当時の英国風力エネルギー協会、現:RenewableUK)、国防省その他の政府部門は、異議を解決してより多くの技術研究資金を調達するための機関の設立を模索する覚書に署名した。 イギリスの風力発電所は、最大高さ125mという制限に適合しなければならないことが多い。ただし、大陸に設置された安価な風力タービンには高さ200mのものもある。
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