陳寿『三国志』とは? わかりやすく解説

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陳寿『三国志』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 03:04 UTC 版)

三国志演義の成立史」の記事における「陳寿『三国志』」の解説

詳細は「三国志 (歴史書)」を参照 正史『三国志』(以下、正史65巻は、三国時代当事者だった蜀出身の晋の史官陳寿(字は承祚。233年 - 297年)による歴史書で、『魏書30巻『蜀書15巻呉書20巻の3書から成る。『史記以来スタイルである紀伝体叙述されているものの、必須要素である紀(本紀=皇帝ごとの年代記)は『魏書』にしか存在せず蜀書』『呉書』には伝(列伝=重要人物伝記しかない。つまりこれら3書は初めからセットとして作成されたことが伺えあわせて「三『国志』」と称された。『華陽国志』陳寿によれば、晋が呉を滅ぼした280年直後完成したとある。本来は陳寿私撰として編纂されたが、唐代編纂された『隋書』経籍志以降同時期の歴史扱った類書とともに正史の類に編入されその後他書次第駆逐していった。なお陳寿の他の著書としては他に『古国志』『益州耆旧伝』などがあるが、現存していない。 蜀漢滅亡後、晋に仕えた陳寿表向き、漢-魏-晋正統後継王朝とし『魏書』のみに「紀」を設けた中華皇帝同時に2人以上存在できないという建前の下、魏の文帝は漢の献帝から禅譲を受け、晋の武帝は魏の元帝から禅譲受けて成立した王朝であるから、これは当然のことである。君主死亡記事でも、魏の基礎築いた曹操には、皇帝に対して用いられる「崩」の字を使用している。これに対し陳寿以前仕えた蜀漢もまた漢の皇室血を引く称する劉備建国した王朝であり、劉備死に対して陳寿は「殂」という特別な字を用いている。「殂」は『書経』で堯の死去用いられている字であり、陳寿劉備を堯の子孫、すなわち漢の後継者であることを仄めかしているようにも受け取れる。これに対し呉の孫権死去は「」であり、『春秋』の義例では諸侯死去用いる字とされているように、皇帝として扱っていない。また、晋を建国した司馬一族によって殺害された魏の4代皇帝曹髦高貴郷公)の死に関しては「卒」という一般人にも用いられる字を使い殺害され詳細省いて筆を曲げている。陳寿このように死去の際に用いる字を変えることによって、言外英雄序列示唆する手法とっている。 また本文における呼び名も、曹操に対して初め太祖」と表記し、その後出世あわせて「公」「王」などと表記し、曹丕「王」「帝」と表記している。それに対し劉備には蜀書で「先主」、劉禅は「後主」と、「帝」の字を回避しながらも、敬意のある表現用いている(魏書呉書登場した際は「備」とも書かれる)。一方、呉の君主に対しては「」などと呼び捨てである。 このように陳寿は、相当の配慮行いながらも、自らの出身である蜀に出来うる限り敬意織り込めつつ、表向き晋王朝=司馬氏やその前身たる魏王朝=曹氏正統とする史書としたのである陳寿隠された蜀びいきは、蜀書掉尾となる楊戯伝に置かれた『季漢輔臣賛』という書物引用にも見られる。「季」は末子を表す字であり「季漢」とは漢王朝最後に受け継いだものの謂である。このように春秋微意」(明確に書かず仄めかす文法)で書かれ陳寿の蜀びいきは、後に形成される蜀漢正統論に影響与えることとなる。

※この「陳寿『三国志』」の解説は、「三国志演義の成立史」の解説の一部です。
「陳寿『三国志』」を含む「三国志演義の成立史」の記事については、「三国志演義の成立史」の概要を参照ください。

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