『隋書』経籍志
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「経籍志#『隋書』「経籍志」」も参照 『隋書』経籍志はもともと『五代史志』の一篇として編纂されたもので、令狐徳棻によって五代の正史の編纂が提言され、貞観3年(629年)に魏徴らによって『五代史伝』が完成した。しかし、ここには「志」が備わっていなかったため、于志寧・李淳風らによって追加の編纂が進められ、顕慶元年(656年)に完成した。 『隋書』経籍志は四部分類を取り、その構成は以下である。 経 もとの六芸略。経書と経書の注釈書などを収める部。易・書・詩・礼・楽・春秋・孝経・論語・讖緯・小学の十類。讖緯の書は『七録』では「術技録」に入れられていた。 史 四部分類によって新設された、歴史書を収める部。正史・古史・雑史・覇史・起居注・旧事・職官・儀注・刑法・雑伝・地理・譜系・簿録の十三類。後漢以来の史学の隆盛に伴って独立し、史書・史学が分野として成熟したことを示す。 子 もとの諸子略・兵書略・術数略・方技略。諸子百家の書と技術書。道・法・名・墨・縦横・雑・農・小説・兵・天文・暦数・五行・医方の十四類。 集 もとの詩賦略。文学作品を収める。楚辞・別集・総集の三類。 付 道経・仏経。各類の巻数が記されているだけで、書名は記録されていない。但し、ここに記録される仏典は翻訳されたものに限り、中国人撰述の仏教関連書は四部の中(史部雑伝・子部雑家など)に収録されている。 以上、合計89666巻の書物が記録されている。『隋書』経籍志は、完全な形で現存する第二の目録であると同時に、漢代以来の学術の流れを総括したものであり、その資料的価値は高い。その分類法は、阮孝緒『七録』を継承したところが多い。 『隋書』経籍志は、『漢書』芸文志に次ぐ分類の基準を定め、以後の『旧唐書』『新唐書』などの正史の目録はこれに依拠しながら分類法を定めた。また、日本の藤原佐世の『日本国見在書目録』も、『隋書』経籍志の分類法を取り込んだものである。以後、『四庫全書総目提要』に至るまで、『隋書』経籍志の定めた基準が細かな改良を加えられながらも用いられ続けた。 漢から隋唐にかけての書籍の流伝を知る上では、経書に関しては陸徳明の『経典釈文』序録、歴史書に関しては劉知幾の『史通』六家篇も有力な資料となる。
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