附属池田小事件と学校安全モデル校、ISS
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「大阪教育大学附属池田小学校」の記事における「附属池田小事件と学校安全モデル校、ISS」の解説
「附属池田小事件」も参照 2001年(平成13年)6月8日、附属池田小事件が発生。侵入した男に児童8名が殺され、児童13名と教諭2名も負傷した。 事件の直後、仮設校舎で授業を行い、2004年に改築した校舎に復帰した。事件を契機に全教員の共同研究として安全教育を推進しており、さまざまな事件を防ぐため、正門に警備員を配置し、校舎も可視化を図り、非常用押しボタンを設置。安全設備の整備ほか、不審者対応訓練も児童対象に1回、教職員対象に5回実施したり、毎月8日を「安全の日」と定め、危機管理マニュアルの内容の確実な実施を点検したりするなど、学校安全設備のモデル校となっている。 2002年には学校災害特別研究児童の受け入れも開始。学校災害による兄弟姉妹が死亡した児童の発達過程と支援のあり方を研究して教育的実践を行っており、2009年4月には文部科学省から「安全科」を設置する教育課程特例校に指定された。 2010年3月には「安全な環境づくりを進める学校」として世界保健機関 (WHO) の「 International Safe School (インターナショナルセーフスクール)」(ISS) 認証を受けた。ISSは、認定制度ではなく、保護者や地域と一体となり安全な学校を目指す「活動を評価する」制度。2004年以降、スウェーデンや韓国、中華民国(台湾)、タイなどの32校が認証されている。 なお、事件の記憶の風化を防ぐため、大阪教育大学も含めた取り組みが行われ、大学では2006年から毎年、全学部の学生に特別講義を開講。事件の概要や学校安全などを学ぶほか、付属高校池田校舎でも6月8日に全校集会を開き、犠牲児童へ1分間の黙祷を捧げている。 また、事件1年半後の2003年2月16日に「8人の児童の追悼式典」を豊中市民会館で、2月28日に「祈りと誓いの集い」を池田市民文化会館(アゼリアホール)で行い、2004年6月8日に旧正門の近くに、祈りと誓いの塔(犠牲8児童に祈り、再発防止を誓う)を建立。以来、毎年6月8日に塔の周辺で、全校児童や教職員・保護者が参加し、祈りと誓いの集いを開いている。祈りと誓いの塔は高さ4.5メートルで、8つの鐘と犠牲8児童の名前を刻んでいる(石材に中国産御影石を、敷石にはインド砂岩を用いている)。浮川秀信(大阪教育大学の元教授)がデザインし、塔の周りに児童と保護者が花を植えている。旧正門の外に、市民向けの銘文碑も設置し、時計台と塔と銘文碑を直線で結ぶように配置。校外から一般市民も塔に向け祈りやすくなっている。 なお、当時「南組」1年生で事件に遭遇した女子児童の一人は、のちに産経新聞の記者となり、2018年に事件の様子について記事に綴っている。また、2020年(令和2年)6月8日現在、事件当日を知る唯一の教諭が現在の校長である。 事件後、被害児童への配慮として、授業再開時に直ちにそれまでの制服を廃止した。その後、新しいデザインの制服が制定されたが、その間は暫定的に私服での通学としていた。
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