金_(姓)とは? わかりやすく解説

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金 (姓)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/06 22:38 UTC 版)

(きん)は、漢姓の一つ。中国・韓国などに見られる。とくに朝鮮民族の姓の中では最大の姓となっている。中国では、漢民族回族満洲民族などが多く称しており、2020年の中華人民共和国第7回全国人口調査中国語版国勢調査)に基づく姓氏統計によると中国で62番目に多い姓であり、494.71万人がいる[1][2]台湾の2018年の統計では第94位で、19,661人がいる[3]

金氏の由来は多様である。主要な起源としては以下がある。

漢民族由来の姓

各種表記
繁体字
簡体字
拼音 Jīn
注音符号 ㄐㄧㄣ
ラテン字 Chin
広東語発音: Gam1
上海語発音: Cin1
台湾語白話字 Kim
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主要な起源

伝説
  • 五帝の一人少昊(金天氏)の子孫は、「金」を姓とした。
賜姓
  • 前漢武帝の時、匈奴の休屠王の子・日磾らが捕えられ「金」の姓を与えられた。
  • のとき、モンゴルの王子・也先土幹や、額森図克、阿爾哈特実哩らが降伏し、「金」の姓を与えられた。
  • 乾隆帝台湾原住民高山族)に7つの姓を与えた。その一つが「金」であった。
改姓
他民族の漢化

歴史

紀元前121年春、漢の武帝は霍去病に命じて隴西を攻めさせ、匈奴の休屠王が天を祀る儀式に用いていた像「祭天金人」を手に入れた。同年秋、休屠王の太子日磾は渾邪王とともに漢に降伏した。武帝は日磾を寵愛し、休屠王の「祭天金人」にちなんで「金」を姓として与えた。金日磾は漢の重臣となる。金日磾と弟の金倫の末裔は「金」を姓とした。金日磾の一族は武帝より七世にわたって内侍を務め、張湯の末裔とともに「金張」と並び称されて功臣世族の代名詞となった。

魏晋南北朝時代からにかけての貴族の時代、金氏の郡望(豪族として基盤を有する土地、のちに同じ祖先を戴く氏族集団の発祥地を示す)は彭城郡京兆尹であった。

南北朝時代、金氏の中には現在の甘粛省に移る者がいた。北斉の大都督金祚安定(現在の甘粛省涇川県)の人である。貞観年間、益州蜀郡(現在の四川省成都市)の「三姓」の一つが金氏であり、汾州西河郡(現在の山西省臨汾市)の「四姓」の一つが金氏であった。

五代十国の一つである呉越では、初代皇帝銭鏐である鏐(りゅう)と同音であることを避け、国内の劉姓の人(項伯の末裔)はみな「金」に改姓した。「劉」の字の頭の「卯」と旁を取り除いたものである。

宋から明の時代、金氏は南方では現在の浙江・江蘇一帯に発展し、現在の江西・安徽・湖南・湖北・福建・広東などに広がった。北方では、河南・河北・遼寧などの地域で金氏が集住する拠点があった。清朝の嘉慶年間より、閩・粤の金氏の中には台湾に移る者があり、またさらに海外(シンガポールなど)へと移住する者があった。

現代の台湾において、金姓の人口は第90位と多くはないが、台湾各地に暮らしている。大陸の金氏の台湾への移住は清代にはじまっているが、史料によればその出身地は時代によって変遷がある。山東に起源を持つ金氏は、まずは安徽・江蘇・浙江などに移住したのち福建・広東に至り、その後福建省を経て台湾に移っている。最初期に台湾に移った金氏は、清の嘉慶年間の金寿老で、台湾の金氏の始祖と見なされている。

著名な人物

歴史上の人物
  • 金日磾 - 前漢の重臣。匈奴出身で「金」の賜姓を受ける。
  • 金旋 - 後漢末期の武将。金日磾の子孫。
  • 金禕 - 後漢末期の政治家。金旋の子。
  • 金文剛 - 宋代の学者。
  • 金履祥 - 元の学者。劉姓より改姓。
  • 金鑾 - 明の散曲家。
  • 金聖嘆 - 明末清初の文学批評家。張姓より改姓。
  • 金農 (書画家)中国語版 - 清代の書画家。
  • 金之俊中国語版 - 清代の政治家。
  • 金侃 - 清代の画家。
  • 金榜 - 清代の学者。
  • 金樹仁 - 中華民国期の政治家。新疆を支配した。
現代の人物
  • 金人慶 - 中華人民共和国の政治家。
  • 金美齢 - 台湾出身の日本の評論家。
  • 金燕玲 - 台湾の女優・歌手。
  • 金莎 - 上海出身の歌手。

作家の金庸はペンネームで、本名は査良鏞。

架空の人物

朝鮮の姓

回族の姓

起源

回族の金氏の多くは、祖先のムスリム名に由来するものか、賜姓によって金を姓としたものである。イブラヒムという名は古くは「亦不喇金」と漢訳されており、ここから漢姓として「金」を採ったのである。

また、他民族で金姓を持つ者がイスラム教に帰依する例もある。

各地の金氏

  • 泉州金氏 - 多くは元末の泉州守将、金吉の末裔である。
  • 大興金氏 - 北京の大興金氏は、回族の中でも名門とされる。清の康熙年間に武進士金懐瑋中国語版があり、その子孫からは多くの進士・挙人が出た。
  • 考城金氏 - 祖籍は北京。のちに汴に移り、明末に黄河の決壊によって考城に移った。金楼東支・金楼西支という支族に分かれた。

著名な人物

  • 金大車中国語版 - 明代の詩人。メッカ(麦加)出身で明太祖(朱元璋)から「金」姓を賜った人物を祖先に持つ。

満洲民族の姓

金姓は、女真族満洲民族)の中では最も早く用いられた漢姓である。元末明初、火児阿万戸である阿哈出中国語版(本姓は古倫)は、漢姓として「金」を称した。朝鮮の『朝鮮王朝実録』によれば、鉄嶺北部女真の都夫失里千戸の火失貼木は金を姓としたという[4]

満洲族が金(後金、のちに清)を建国すると、愛新覚羅氏(アイシンギョロ氏)などの皇族が南下した。「アイシン」(ᠠᡳᠰᡳᠨ)は「」という意味の部族名に由来しており、清朝滅亡後、愛新覚羅氏の多くが漢語に翻訳した「金」姓に改めた。

満洲族の金姓は、もともとの愛新覚羅氏、金佳氏、精吉氏、精格理氏、索爾済氏、鈕祜禄氏、車勒庫車氏、錫爾馨氏、馬佳氏、索爾済氏などの氏族を含んでいる[4]

また、旗人に編入された朝鮮族の金氏や漢民族の金氏、モンゴル族の阿穆尼布塔斯氏などが、満洲系の金氏に含まれる[4]

著名な人物

脚注

  • 「※」印をつけたものは、訳出元に掲げられた出典であり、翻訳に際して参考にしてはいない。

  1. ^ 中国信息报 2022年11月11日 2版 - “百家姓”规模及其占全国总人数比重” (中国語). 中国信息报 (2022年11月11日). 2023年2月11日閲覧。
  2. ^ “百家姓”人口占全国人口比重达84.55%” (中国語). 中国信息报 (2022年11月11日). 2023年2月11日閲覧。
  3. ^ 全國姓名統計分析”. 中華民国内政部. p. 281 (2018年10月). 2023年1月19日閲覧。
  4. ^ a b c 赵力:新版《满族姓氏寻根大全》及各姓氏中部分满族名人③ ※

「金 (姓)」の例文・使い方・用例・文例

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