趙志集とは? わかりやすく解説

趙志集

主名称: 趙志集
指定番号 2503
枝番 00
指定年月日 1997.06.30(平成9.06.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 1巻
時代区分 平安
年代
検索年代
解説文:  『趙志集』は唐代人物である趙志にかかわる贈答の詩を収めた詩集で、天理大学所蔵になる本巻現存唯一の孤本として知られている。本書成立後ほどなく亡失逸書となったためか、『全唐詩』などの詩集にも収められておらず、今日伝わったのは、早い時期わが国将来したため考えられる
 本書は、体裁巻子装、表紙焦茶雲龍文金襴、料紙楮紙六紙に淡墨界を施して用い本文は詩一〇首を行一五前後に、唐代書風示しながらもやや温雅な行書体にて書かれており、書風等よりみて、平安時代中期書写になると認められる巻頭には「趙志集一巻」の首題があり、さらに「興福/傳法」の方印二顆がある。首題の下には本文とは別筆にて「山階傳法供」「十七張」と墨書があり、本書はもと興福寺伝来し一七紙で一巻構成していたことが判明する
 内容は、趙志とその友人である張皓、劉長史、鄭司馬、裴然、張結、徐長史との間に取り交わされ贈答和詩で、晩夏から晩秋にかけて作られた詩を順に収めていると考えられている。趙志およびこれらの人びと経歴について詳らかでないが、その名前や詩の内容からみて、唐代地方官人を中心とするグループであった思われる
 これらの詩篇多く五言あるいは四言の古体詩で、対句表現をとるものが多い。修辞のうえでは全体に『文選』の影響色濃く受けており、唐の官人の間で『文選』が作詩模範として重用されていたことが知られる。とくに相手の詩を称賛するなど社交儀礼的な詩が中心ではあるが、地方官人として心情や、隠棲への思いなどについて吐露したものもみられ、当時官人らの生活の実状端的に示して興味深い
 本文中には書写のうえでの若干誤脱もみえるが、唐鈔本に見いだされる別字や、避諱にかかる文字表敬書法である空格を使用していることから、唐鈔本をもとに書写が行われたと思われるまた、小野道風筆の綾地切の新楽府などと同様の行末点法が二か所にみられることは、本書古くわが国書写された事実語っている。
 紙背にある『唯識章』については、奥書によれば長元三年一〇三〇十月四日法相宗興福寺常住伽藍僧経暹が書写し、承徳三年一〇九九)に法隆寺常住僧覺春が伝領していたことが知られ、『趙志集』の書写年代がこれをさかのぼ平安時代中期であることを裏づけている。
 このように本巻は、唐代官人社会での日常的な贈答詩の作成経過を示す貴重な詩巻で、現存唯一の古写本として漢文学研究上に価値が高い。



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