諸実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 10:24 UTC 版)
Homestake(英語版) 地下 3000 m に設置した 600 トンの塩化物溶液のタンクを用い、塩素37とニュートリノの反応を利用して太陽ニュートリノを観測した。1969年から観測開始、観測されるニュートリノの数が太陽モデルに基づく計算結果に比べて三分の一しかないことを示した(太陽ニュートリノ問題)。 スーパーカミオカンデ(ミュー型とタウ型の間の振動を確認) 地下 1000 m に設置した約 50000 トンの純水のタンク(直径39.3m、高さ41.4m)に入射するニュートリノを検出しその入射方向、エネルギーを測定する。電子ニュートリノとミュー・ニュートリノを観測可。1996年から観測を開始し、太陽から飛来する電子ニュートリノが理論計算値よりも少ないという太陽ニュートリノ問題を確認、1998年大気ニュートリノの観測によるニュートリノ振動の証拠を捉えた。1999年から2004年にかけて250km離れた高エネルギー加速器研究機構からニュートリノビームを入射する長基線ニュートリノ・ビーム実験(K2K)によるニュートリノ振動の検証も行った。2001年SNO実験の結果と合わせて太陽ニュートリノ問題もニュートリノ振動によることを明らかにした。 サドベリー・ニュートリノ天文台 地下2000mに設置した 1000 トンの重水で満たした直径 12 m の容器に入射する太陽ニュートリノを検出する。電子、ミュー、タウの三種類のニュートリノを観測可。1999 年から観測を開始し、2001年に太陽から飛来する電子ニュートリノが別の種類のニュートリノに変化していることを確認。スーパーカミオカンデの結果と合わせることによりニュートリノ振動を確認した。2002年には中性カレント反応を利用した独自の結果と昼夜効果の観測結果を発表、改めてニュートリノ振動を確認した。その後検出器の重水に食塩を混入し、ミュー、タウ・ニュートリノに対する感度を向上させて観測を続けている。 カムランド(ミュー型と電子型の間の振動を確認) 地下 1000 m (カミオカンデ跡地)に設置した 1000 トンの液体シンチレーターで満たした直径 13 m の球状容器に入射するニュートリノを観測する。ニュートリノと反ニュートリノを識別することが出来る。2002年観測開始。150 から 200 km 離れた原子炉の核分裂反応で発生する反ニュートリノ(電子型)を検出し、原子炉のデータから予測される発生数、エネルギー分布と比較して反ニュートリノのニュートリノ振動を初めて確認した(2002年、2004年)。2005年には地球内部で発生した反ニュートリノの観測結果を発表、地球の内部構造を理解するための新たな手段となる可能性を示した。 T2K(タウ型と電子型の間の振動を確認) 東海村のJ-PARC加速器で発射したニュートリノを295km離れたスーパーカミオカンデで捉える。2009年確認。 Borexino 地下 1400 m (グラン・サッソ)に設置した 1300 トンの液体シンチレーターと 2400 トンの水の二重構造の球形容器(内側容器直径 8.5 m、総直径 13.7 m)を用いて太陽ニュートリノを観測する。 OPERA CERN からグラン・サッソへの 732 km 長基線ニュートリノ・ビームラインを使用し、写真乾板を用いてミューニュートリノからタウニュートリノへの変化を観測する。2010年5月31日に観測に成功したと発表。2011年9月には光より60ナノ秒速い可能性のあるニュートリノが検出されたと報告したが、後に光ケーブルの接続不良等の問題が判明し撤回した。 ANTARES 地中海の海底に検出器を設置し、厚さ 2400 m の海水を利用してニュートリノを検出する。 ダブルショー ショー原子力発電所において原子炉ニュートリノを検出する実験。ニュートリノ振動のパラメーターの一つである混合角 θ 13 {\displaystyle \theta _{13}\ } を測定することを目的としている。 大亜湾原子炉ニュートリノ実験 大亜湾原子力発電所と嶺澳原子力発電所の原子炉で生成される反ニュートリノを検出する実験。混合角 θ 13 {\displaystyle \theta _{13}\ } を測定することを目的としている。
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