原子炉ニュートリノ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 16:35 UTC 版)
カムランドは、2002年1月17日からデータ収集を開始した。最初の結果は約145日のデータを用いて報告された。ニュートリノ振動がなければ、86.8±5.6事象が期待されるにもかかわらず、54事象しか観測されなかった。この結果を検証するため、データサンプルを515日に増やしたところ、ニュートリノ振動がなければ、365.2事象が予想されるのに対し、258事象しか観測されなかった。これによって高い信頼度で反ニュートリノが消失していることが確認された。 カムランド検出器は、反ニュートリノの数だけでなく、エネルギーも測定している。エネルギースペクトルの形状はニュートリノ振動仮説の研究に活用することができるさらなる情報をもたらす。2005年の統計分析で、スペクトルの歪みは振動なし仮説そして2つの代替消失メカニズム、すなわちニュートリノ崩壊およびデコヒーレンス (decoherence)モデルと矛盾することが示された。2種類のニュートリノ間の振動を仮定すると矛盾がなく、Δm2とθパラメータの最適値が導かれた。カムランドはΔm2を最も精密に測定し、太陽ニュートリノ実験はθの測定能力でカムランドを上回っていたので、最も精密な振動パラメータは太陽ニュートリノの測定結果と組み合わせることによって得られた。これらのデータを組み合わせることで決定できる最適なニュートリノ振動パラメータとして、 Δ m 2 = 7.9 − 0.5 + 0.6 ⋅ 10 − 5 eV 2 {\displaystyle \Delta {m^{2}}=7.9_{-0.5}^{+0.6}\cdot 10^{-5}{\text{eV}}^{2}} と tan 2 θ = 0.40 − 0.07 + 0.10 {\displaystyle \tan ^{2}\theta =0.40_{-0.07}^{+0.10}} が得られた。 2008年と2011年に精度を向上させた結果が報告された。 Δ m 21 2 = 7.59 ± 0.21 ⋅ 10 − 5 eV 2 , tan 2 θ 12 = 0.47 − 0.05 + 0.06 {\displaystyle \Delta m_{21}^{2}=7.59\pm 0.21\cdot 10^{-5}\,{\text{eV}}^{2},\,\,\tan ^{2}\theta _{12}=0.47_{-0.05}^{+0.06}}
※この「原子炉ニュートリノ」の解説は、「カムランド」の解説の一部です。
「原子炉ニュートリノ」を含む「カムランド」の記事については、「カムランド」の概要を参照ください。
- 原子炉ニュートリノのページへのリンク