原子炉内中継装置落下事故
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「もんじゅ」の記事における「原子炉内中継装置落下事故」の解説
2010年8月26日、炉内中継装置をつり上げ作業中に、落下させる事故が起きた。 日本原子力研究開発機構は、2010年10月1日「落下による影響はない」として装置の引き上げ作業を続行し、同年10月4日(直後に中断)と13日に、24回の引き抜き作業を試みるものの、いずれも失敗した。 炉内中継装置は、燃料を燃料交換時に仮置きする金属製の筒で、原子炉容器にふたをしている鋼製の遮蔽プラグの穴を通して出し入れする。直径46cm・長さ6mの2本の筒を8本のピンで縦につないだ構造で、全長12m、重さ3.3トン。下から約5メートルの部分に接合部があり、この接合部あたりで抜けなくなっていた。 また炉内はアルゴンガスや不透明なナトリウムに覆われており、変形部分を直接目視することができず、作業は難航した[要出典]。その後、以下の推移を経て2011年に装置の引き抜きに成功した。 2010年11月16日、ファイバースコープ及びCCDカメラで2本の筒の接続部にギャップが発生し変形していることを確認した。 2010年12月16日、復旧作業と性能試験工程を決定。 2011年1月28日、落下した装置を引き抜くための追加工事や試験などの復旧作業に約9億4千万円の費用がかかることがわかった。また、停止中も維持費に1日5500万円の費用がかかると報道された。 2011年2月14日、装置を現場で担当する燃料環境課長が福井県敦賀市の山中で自殺し、遺体で発見された。 2011年6月23日、20時50分より工事を契約した東芝が引き抜き作業を開始する。 2011年6月24日、引き抜きを完了した。この引き抜き作業の準備のために原子炉容器の上に機器を新設したことを受けて、撤去にかかった費用は計約17億5000万円となっている。 2011年7月7日、炉内中継装置の分解点検作業を開始する。 2011年7月12日、分解点検作業を終了した。分解点検の結果、炉内中継装置の全構成部品293点の回収を確認した。ここで回転ラックの「駆動軸ジョイント」部(ユニバーサルジョイント側)の平行ピン1本が切断されており、他1本の平行ピンに約8mmのずれがあること、また回転ラック軸下端部のすり傷及び回転ラック軸受台下面の縁に摩耗痕があることを原子力研究開発機構は確認した。原子力研究開発機構は破断面のレプリカを取得し、機器破片が原子炉容器内に残存していないか確認していくとしている。 2012年3月9日、落下事故の報告書を日本原子力研究開発機構が経済産業省原子力安全・保安院に提出。 2012年8月8日、中継装置の落下に係る復旧が完了。
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