諸宗教に対するキリスト教との比較の見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/09 04:31 UTC 版)
「悪魔払い」の記事における「諸宗教に対するキリスト教との比較の見解」の解説
悪魔払いと和訳されるところのキリスト教文化のエクソシズムの概念を、その他の諸伝統における類似の営みに対して適用しうるかどうかについては争いがある。 2世紀のキリスト教神学者、殉教者ユスティノスは、世界中でキリストの御名の下に多くのキリスト教徒が非キリスト教徒の悪魔払い師の癒せなかった人々から悪霊を駆逐してきたと述べ、キリスト教の悪魔払いは異教のそれとは一線を画しているとする。 『カトリック百科事典』は、神またはキリストの御名の下に行われるキリスト教の悪魔払いは真に宗教行為であるが、民族宗教のそれは呪術や迷信にすぎないとして、カトリックの悪魔払いを異教の悪魔払いと混同して迷信と断ずることを批判している。 厳命による追放はエクソシズムの第一義であり、キリスト教の用法におけるがごとく、この厳命が〈神〉もしくは〈キリスト〉の御名においてのものであれば、エクソシズムは厳密に宗教的な行為ないし儀礼である。しかし民族宗教では、そしてエクソシズムが広く行われた証拠のある時代以降のユダヤ人の間でさえも、宗教的行為としてのエクソシズムは現代の非カトリックの著述家が時々キリスト教のエクソシズムを不当に同類とみなすところのたんなる呪術的・迷信的手段を行使することに大部分取って替わられている。 — Catholic Encyclopedia (1913) カトリック教会の「祓魔」は教会法で定められている凖秘跡のひとつであり、イエスが教会に委ねた霊的権能に依拠するものであることがカテキズムで謳われている。その意味において、教会とは関係のない民間の呪術師の自称悪魔払いとは別物とされる。現代のカトリック教会においては、悪魔払いは基本的にカトリックの洗礼式の時に行われる。また「盛儀祓魔式」と呼ばれる本式のものは司教の許可が必要であり、これはローマ・カトリック独自のものである。マルコによる福音書には、イエス・キリストが悪霊を追い出した時、ファリサイ派がイエスは悪魔ベルゼブルの力によってそれを追い出したと主張した、という記事がある。プロテスタントの聖書注解は、当時のユダヤにも悪魔払いを行なう者が多くいたが、それとイエス・キリストが異なる点は、イエスが決して失敗せず、神の力を持っていた点であると指摘する。 第266代ローマ教皇フランシスコ(在位:2013年3月13日 -)は、悪魔払いに関して肯定的な発言することがあった。 米国の中世史家ロッセル・ホープ・ロビンズは、膨大な資料を基に執筆した西欧の魔女と悪霊の百科事典『悪魔学大全』において、憑依と悪魔払いは時代と地域とを問わずすべての宗教に共通する普遍的なものであると述べる。そして、キリスト教の悪霊の概念は他の宗教の悪霊とは別であるが、キリスト教の悪魔払いと他の宗教の同様の儀式には大きな違いはないとしている。
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