諸国住民からの援助
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 17:40 UTC 版)
9月3日、ジェノバにおいて第4回国際連盟総会が開催された。総会では大震災に同情する決議や、各国が帝国図書館に書籍寄贈を行うための決議が行われ、また日本国は各国代表から個人的に集められた救援金の提供も受けた。 世界中の個人や企業、都市・機関・国から提供された援助は、10月の時点の内容や経緯が『我震災に対する諸外国の同情及救援の記録』としてまとめられた。この目録を掲載した冊子には日本政府関係者も次のような謝意の言葉を寄せた。 這般の大震災について世界の諸国が我が国民に対して表した熱烈な同情は、かくも篤いものかと、ただ驚きと感謝とに堪えないところである。かような際に世界の諸国民の深い厚志を十分認識すると共に、国民一般に国際的精神を振い起こすことは最も肝要なことと信ずる- 東京高等師範学校教授友枝高彦『国際的精神の要請』 わが国の今回の震災に対する諸外国の国民の同情はイギリス、アメリカ、フランス、イタリアなどの大国は言わずもがな、キューバ、サンマリノなどの国々に至るまで、すこぶる盛んであって、それぞれ応分の援助を提供している。…我々は、この外国の深厚なる同情に対して感謝の念を禁じえない- 文部大臣岡野敬次郎『国際教育の必要』 日本に対する各国民の真摯にして至らないことのない同情の事実を聞き、感激の念を禁ずることが出来なかった。…このたび各国より寄せられた同情に対しては、深くこれを記念して、他日、友国であって不幸に陥った場合があったとしたならば、極力これに報いる覚悟を日ごろから用意しておかねばならない- 外務大臣伊集院彦吉『大震災と諸外國の同情』 支那(中国)は恰も排日運動を行っていた最中にも拘らず、震災の報一度伝わるや、南北を通じ、昨日の排日論者は直ちに今日の義捐者となった。…又米国は大統領クーリッジ氏が9月3日早くも教書を発して日本震災に対する同情を表明し、米国民に日本救済寄付金の応募を宣伝するや、全米の同情として集まり、1000万円の予定額は既に1600万円を算するに至った。其他同国赤十字社及各種団体の活動に至っては自身の災厄のような真面目と努力とを以って行われた。寄付金以外の衣服、食料品建築材料等…其他の諸国、英、仏、伊、白、印度等の遠隔の地にあるものも、電報その他の慰問又は応分の資を送って、我が国民の不幸を援助せられた- 渋沢栄一『国際共助精神の顯現』 こうした個人や団体からの援助活動に対し、貴族院は1923年12月11日、衆議院は12月13日に、謝意を示す決議を行った。また昭和5年には「市民の謝恩心伝える優雅なる英語が話せる良家の子女」として、4名(芦野きみ・徳田純子・佐藤美子・松平佳子)が選ばれ、遣米答礼使としてアメリカに派遣された。
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