観光地としての魅力向上への取り組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 13:59 UTC 版)
「千波湖」の記事における「観光地としての魅力向上への取り組み」の解説
水戸市の観光業は春の「梅まつり」に依存してきた所が大きかった。千波湖も1993年の「第10回全国都市緑化フェア - グリーンフェア'93いばらき」開催や、1998年のNHK大河ドラマ『徳川慶喜』の「徳川慶喜」展示館設置いった一時的なイベントがあった年以外は梅まつりの時期に観光客が集中する傾向であった。その「梅まつり」においては駐車場がある湖西側エリアが偕楽園へのプロムナードのひとつとして機能している。しかし、2011年の東日本大震災による風評被害で水戸市の観光客が大きく落ち込んで以降、震災前の水準に回復をしていないことを背景に、宿泊型・通年型観光地への発展、外国人観光客の取り込みの必要性があげられ、その達成の為に偕楽園(千波公園)エリアで観光客をもてなすハード、ソフトの整備が課題となった。 2019年4月26日、茨城県は偕楽園及び茨城県立歴史館周辺の観光地としての魅力を向上させる計画の策定をさせる「平成31年度偕楽園・歴史館エリア観光魅力向上計画策定業務委託」の公募型プロポーザルを公告した。このプロポーザルは7社が応募し、結果、国内でリゾートホテルなどを運営している星野リゾートが業務委託先に選定された。同社代表の星野佳路は選定後の6月15日に水戸市内で開かれた偕楽園と千波湖の将来を展望する『千波湖フォーラム(水戸商工会議所主催)』の場で、水戸市の観光課題として、”観光資源の点在”、”体験型サービス(所謂「コト消費」)の不足”、"象徴となる食の欠如"などを上げた上で、今回の計画策定においては国内大都市圏や海外からの誘客に徹した経済効果を産み出す計画であることの必要性を強く語った。 同年11月、星野リゾートがまとめた「偕楽園・歴史館エリア観光魅力向上構想」が公表される。この構想で最も目を引いたのが千波湖西側の湖上に架けられた1周1.5キロメートルにおよぶ巨大な円形の橋を構築することであった。「MitoLink(ミトリンク)」と名付けられたこの橋により土地の高低差や道路・線路で分断された"千波湖畔エリア"、"偕楽園拡張部エリア"、"偕楽園本園と歴史館エリア"の3つをつなぎ合わせ、エリア間の回遊性を高めた。そして3つのエリアにそれぞれ魅力促進の仕掛けが提案された。"千波湖畔エリア"では都市の近くにありながらリゾート気分を味わえるエリアへの変貌が志向され、水戸観光の拠点となる「MitoMix」と呼ぶカフェ、レストラン、ギャラリー、ショップが入った施設や、ランニングステーション、サイクリングステーション、ホテル等の設置の他、湖を利用した体験型サービスの提供などが提案された。星野リゾートが出したこの構想はインパクトの強いもので、特に「MitoLink」はその圧倒的ビジュアルと、その橋を散策することの非日常的体験がメディア、SNSでの情報拡散、露出が期待できるものであった。 星野リゾートの提案を大井川和彦茨城県知事は、「観光のプロとしての視点から、水戸の強み、あるいは弱み、課題を的確に捉えたプロポーザルになっている」と評価しつつ、「全ての提案がそのまますぐ実行できるかどうかというのは、それは今後の検討会等での議論を待たなければいけない」と述べた。そして、その偕楽園エリアの魅力向上策を検討会である「偕楽園魅力向上アクションプラン検討会」では、将来の財政負担が大きくなる「MitoLink」のような構造物の建設を積極的に推す委員はいなかった。 2020年5月7日、茨城県は星野リゾートの構想を叩き台に、偕楽園魅力向上アクションプラン検討会での議論を経て、今後の偕楽園及び千波湖畔、歴史館等のエリアの魅力向上策の指針となる「偕楽園魅力向上アクションプラン」を公表した。このプランでは、偕楽園等エリアを日本を代表する通年型観光地とすることを目標に掲げた上で、いくつかの方策を提示している。その中で千波湖及び千波公園は課題である「滞在型の(屋内)施設が少ない」、「地元の食やお土産等を楽しめる場がない」、「ジョギングロードが老朽化している」、「水質が悪い(特に夏場のアオコ)」等を「都市の中にある湖、豊かな生活を過ごせるゾーン」をコンセプトに、「飲食・物販施設の整備」、「ジョギングロードの整備」、「水質の改善」等の方策により解決し、魅力向上を図ることがプラン内で提示されている。なお「MitoLink」はアクションプランには盛り込まれず、県担当課は引き続き検討してゆくと話すに留めた。
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