葬儀の風習
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 09:57 UTC 版)
出棺の際に、故人が使っていた属人器であるご飯茶碗を割ったり、座敷を掃き出したり、カゴや臼を転がしたりする風習が残っている地方がある。地方によっては、埋葬した死霊が付いて来ないよう、火葬場に向かう道と帰り道は同じ道を通らず、一本道で難しい場合であっても可能な限り同じ道を通らないようにする風習がある。逆に同じ道を通らなければならないとする風習の地方もある。 葬儀終了後に「振り塩」と呼ばれる清めの塩を撒く。ただしこれは神道由来の慣習であって、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}死を穢れとみなさない仏教の教義に反するとの考え方が多くなり、元来これを行っていなかった浄土真宗を中心に、近年では行われない場合も少なくない。[要出典] 遺体を安置する場合には、遺体の胸の上に魔除けとして刃物を置き、これを「守り刀」と呼ぶ。武士の社会で刀によって魔を斬るといった意味や、魔物の使いとされていた猫が光り物を嫌がるため、刀を置くことが魔除けとされたことに由来する。遺体を安置すると、そこに供え物として枕飯、枕団子を供える。枕団子は米の粉(上新粉)などを丸めて作ったもので、数は地域によって差があり、六地蔵、六道から六個とする説と、十三仏などからとった13個とする説がある。なくなった日から一個ずつ増やして四十九日までお供えし、49個飾る地域もある。枕飯はご飯を御茶碗に山盛りにして、御箸をさして飾る。 一般に告別式は友引の日を避けるが、これは俗に“友を(死に)引かない”よう配慮するためとされる。ただし本来は六曜は仏教とは関係がない、賭け事、勝負事から入って来ており、友引とは「勝負事で友人と引き分ける」という意とされ、陰陽道との混淆に由来する。ゆえに友引の日に告別式を行わない風習は迷信と考えられる。火葬場は友引の日が休業日になっている所が多いが、友引でも休業日でない所も増えている。 墓地など埋葬する場所まで送ることを野辺送りと呼ぶ。一部の地域では、出棺する前に棺をその場で3回回したり、建物を3回回ったりして出棺する「三回まわし」と呼ばれる風習が見られる。また、振り銭・振り餅、葬列時に花籠(竹の籠から割った竹を幾本も垂らし、紙の飾りをつけた物)に銭や餅を入れ落としながら葬列する風習もある。ざるから手で取って撒く場合は撒き銭・撒き餅などとも言う。 なお、同じ日本でも、沖縄県では中国の文化の影響を強く受け、琉球の信仰に基づく葬儀の風習はかなり特異であり(風葬、洗骨、死亡広告の項も参照)、告別式の前に火葬を行うのが普通である。また東北地方、中国地方、九州地方の一部でも告別式の前に火葬を行うことが多い(骨葬)。また、事故死や孤独死など遺体の損傷や腐敗が激しい場合、死因が感染症であるために通常の方式では参列者が感染する恐れがある場合、亡くなった場所から遠く離れた場所で葬儀を行う場合など、やむを得ない理由で告別式の前に火葬を行う場合もある。
※この「葬儀の風習」の解説は、「葬儀」の解説の一部です。
「葬儀の風習」を含む「葬儀」の記事については、「葬儀」の概要を参照ください。
- 葬儀の風習のページへのリンク