芝浜の描写とは? わかりやすく解説

芝浜の描写

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 01:37 UTC 版)

芝浜」の記事における「芝浜の描写」の解説

芝浜』を演じた噺家は多いが、「芝浜三木助」と謳われた3代目桂三木助1950年代演じたバージョンは特に高名である。 この演出には、落語評論家として知られ3代目桂三木助親しかった作家安藤鶴夫ブレーンとして携わったと言われている。読売新聞連載記事名作聞書」には3代目桂三木助の「芝浜」が注釈つきで収録されている。 3代目桂三木助の「芝浜」の魅力二つある。ひとつは絵画のように情景写し出す描写力である。三木助は「落語とは何か」と問われて、「落語とは絵だ」と答えている。つまり「演者丁寧に描写する絵(映像)を、聴き手鮮明に見せる事こそが重要だ」と主張したのである彼の理論従えば魚屋市場にやってきた場面に於いて夜が明けて朝日照らされ真白い浜、静かに揺れ穏やかな波、周囲建物何も無い美し芝浜聴き手見せる事ができるか否か、が本作真髄であり醍醐味と言うことになる。『芝浜と言う題名ながら、実際に芝浜描かれるのはこの場面だけであり、非常に重要な見せ場と言えよう。これは極めて高レベル実力噺家にも聴き手にも要求される3代目桂三木助は、暉峻康隆助言により、冒頭に「明ぼのや しら魚しろきこと一寸いっすん)」という句を挟むという独自演出をした。松尾芭蕉の句である。しかも、芭蕉の名を出さず「翁の句に」といったのである。 これらの風景描写前述のようにファンには喜ばれたが、古典落語範囲逸脱している事から、落語業界内でも賛否がある。 5代目古今亭志ん生3代目古今亭志ん朝は、芝浜の描写をせず、慌てて戻ってきた魚屋財布拾ってきたことを女房語り聞かせる構成にしている。中でも志ん生は、三木助の芝浜について「の浜のくだりが長すぎて、あれじゃとても夢と思えねぇ」とも言ったという。 三木に対して概ね好意的である7代目立川談志も「三木助さん芝浜好き嫌いでいえば嫌でした安藤鶴夫みたいなヤツのことを聞いて変に文学的にようとしている嫌らしさがある」「芭蕉と言わずに翁の句という」と批評している(いずれもバンブームック1 立川談志芝浜」より)。 五街道雲助三木助の芝浜について、「『たかが噺にそこまで』と云う反論ありましたし、私も文芸的にと云うのは好きではないのですが、この噺だけはそうした味つけがあってもよかろう云う考えです。つまり、そうしたいにさせる何かが有るなんですね。誰しもがそう思うようで、この噺ほど演る人によって持っていき方や工夫の違う噺もありません。それだけ演者の噺に対す姿勢感覚試されて、恐い噺なのかも知れません」と記している。 物語は、実力ありながら仕事身を入れず、酒で一旦身を持ち崩した男が、一念発起し仕事身を入れて見事に立ち直る、というストーリーとなっている。これは3代目桂三木助実像オーバーラップする三木個人に対して思い入れがあればあるほど、本作感動することになる(もっとも3代目桂三木助場合は酒でなく博打であるが)。 3代目三木助はこの演目で、1954年昭和29年)の文部省芸術祭奨励賞受賞した。 なお、3代目桂三木助実演CDレコード)の形で複数販売されているが、残されている音源1954年NHKラジオ放送され一本のみである。また「録音残っているものは短縮型不充分口演で、(録音前提としない実演数段上であったように思う」という評がある(京須偕充芝居寄席と』)。本作芝浜長時間要する話だが、ラジオ番組には時間制約がある。3代目桂三木助NHK専属落語家だった。[要出典]残されている録音多くラジオ放送用の収録を基にした物だった。

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