老朽化が進む共楽館と改修工事
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「共楽館」の記事における「老朽化が進む共楽館と改修工事」の解説
平成に入るころから、共楽館は雨漏りなどの老朽化が目立つようになってきた。日立市は1995年(平成7年)から翌1996年(平成8年)にかけて約1800万円をかけて雨漏りの応急対策工事を行った。なお、この応急工事時に1940年(昭和15年)頃に設置された火の見櫓は最終的に撤去される。しかしその後も雨漏りは続き、2000年(平成12年)6月の共楽館建築調査時に雨漏りが激しい状況が指摘され、2003年(平成15年)8月には雨漏り調査が実施された。調査の結果、全部で12カ所の雨漏りが確認され、その多くが屋根にすき間が空いてしまっていることによる雨漏りであることが明らかとなった。雨漏りの他にも雨樋の腐食も激しくなっており、雨漏りと雨樋の腐食によって漆喰壁の剥落、土台の腐食なども確認されるようになった。2005年(平成17年)になると雨漏りはより激しくなり、館内にバケツを置いたりブルーシートを敷くなどして対応せねばならない状態となった。同年11月からは共楽館の耐震構造調査が実施された。調査の結果、震度6程度の地震で倒壊する恐れがあることが判明し、2006年度(平成18年度)から共楽館の使用は禁止されることになった。 当初、共楽館は2年間の予定で改修が行われる予定であった。しかし改修はなかなか始まらなかった。この間、2007年(平成19年)には経済産業省は地域活性化のため、優れた産業遺産を近代化産業遺産として認定した。共楽館も「近代日本の重工業化と地域経済の発展を支えた常磐地域の鉱工業関連遺産群」の構成遺産として推薦されていたが、日立市は建物の老朽化と利用方針が確定していないことを理由として推薦を辞退する。なかなか共楽館の改修工事が始まらない状況を見て、2009年(平成21年)5月に共楽館を考える集いは日立市長に対して早急な修理を求める要望書を提出した。 結局、2009年(平成21年)9月28日、日立市定例議会は麻生内閣の地域活性化・経済危機対策臨時交付金から約2億4000万円、合併特例債約1億5000万円、そして日立市の一般財源から約23万円の、総額4億円近くの共楽館改修予算を可決した。そして9月30日には共楽館がこれまで日立市民文化の向上、振興に大きな寄与をしてきたこと、和洋折衷の大型木造建造物として特に外観は創建当時の形を良く残していて文化的に高い価値が認められること、更に日立市の鉱工業発展を示す貴重な産業遺産であることが評価され、日立市の有形文化財に指定された。 日立市は共楽館の改修費用の予算を可決したが、これは建物の老朽化と耐震性の問題を解決する必要最小限のものであり、共楽館を考える集いなどが求めていた劇場、芝居小屋としての復活を目指したものではなかった。工事は雨漏りの原因である屋根の葺き替え、耐震性の強化のため、現存の建物の壁面内側に木造の補強壁を設置すること、外壁は既存の漆喰を塗った杉板を取り外し、破損が著しい杉板は交換し、補修可能な杉板は補修を行った上で漆喰を塗り直す、更には土台の改修、天井の雨漏り部分の修繕などという内容で行われることになった。 2002年(平成14年)7月24日午後10時10分ごろ、「共楽館」(現・日立市武道館)から出火、木造二階建て千六百十五平方㍍のうち、一階南側トイレ付近の外壁など約三十平方㍍を焼失した。日立署は、現場周辺には普段火の気がなく、建物の外側が燃えていることから、放火の疑いもあるとして捜査を行った。
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