老朽化に伴う改築事業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 16:46 UTC 版)
通水後35年以上を経て、水路沿線の地盤沈下と水路自体の損傷、そして老朽化が大きな問題になった。地盤沈下については、国道125号を潜る行田市の長野サイフォン付近、最下流の鴻巣市糠田地区の区間で特に著しい。地盤沈下により、水路の沈下・変形、底板隆起や側面パネルの欠損などが発生し、このため本来ならば毎秒50立方メートルの導水機能を有していながら、毎秒40立方メートル以下の水しか導水できないという機能不全の状態に陥った。併せて耐震性の低下や不足も指摘された。大規模地震が発生し、この地域で予想されている最大震度である震度6強の揺れが生じると、水路や付帯施設に甚大な被害が発生する恐れがあり、この場合には長期の通水不能や周辺地域への被害、影響が予想された(水資源機構)。 いずれにせよ、武蔵水路は全面的な改修が必要な時期が来ていたため、管理者である水資源機構が改築事業を計画、全面的な改築事業を実施。2015年度(2016年3月)に事業が完了した。 幹線水路は、従来の断面が逆台形のコンクリートライニング構造から、耐震性の高い矩形断面の鉄筋コンクリートフルーム構造へ改築された。改築区間は、中央に分離壁が設けられた狭い水路が2本平行したような構造になっている。これは、メンテナンスを行うときに片方の水路のみを止水し、もう片方の水路は通水したままにしておくことで、メンテナンス中の通水を確保するためである。 このほか、サイホンや水門の耐震工事、糠田排水機場のポンプ増強、管理設備の更新などが行われている。開水路部の施工は半川締切工法を採用し、施工の難易度が高いとされるサイホン部は、パイプインパイプ(PIP)工法と呼ばれる既存の水路の内側に鋼管を通す工法が用いられた。また、改修により生まれた用地を活用して水路の管理用通路(隣接する県道の歩道として運用)が整備された。 改築工事は平成27年度土木学会の技術賞(技術賞IIグループ)を受賞した。
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