紙本墨画淡彩夏冬山水図とは? わかりやすく解説

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紙本墨画淡彩夏冬山水図〈雪村筆/〉

主名称: 紙本墨画淡彩夏冬山水図〈雪村筆/〉
指定番号 1917
枝番 00
指定年月日 1993.06.10(平成5.06.10)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 2幅
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文:  各幅に「雪村【せつそん】」と読めるやや大ぶり白文方印が捺されている。しかし、雪村作品落款がなくてもすぐそれとわかる。鋭く尖った岩のかたち、線的な皴【しゆん】法、不安定な岩の重なり生み出す幻想的な山水、波、樹木、のすべてが個性的である。楼閣瀑布描かれているのが夏景で、近景ほど岩肌は墨が濃く遠景になるにしたがって皴が細やかになり、薄藍色がまさっていく。その清潔な色合い朝早い山間さわやかな空気感じさせる雪村特徴一つは墨と色彩すがすがしさにある。
 一方冬景は、画面下辺ほぼ中程三角形の岩があり、岩に向かって右手は大河で、川に面して建物が二棟あり、左手は道となって驢馬を追う人物一人歩む人物見える。道は川に沿ってジグザグに延び、道が曲がるところの突端には竿を肩にした人物が舟へと向かう。画面中央後方聳える岩の右肩には月がかかっており、こちらは月下行旅図と見ることができる。素地表され輝き痛烈な寒気偲ばせる
 雪村周継常陸豪族佐竹氏一族生まれたが、禅僧となって鎌倉の地で修行重ねあわせて画業にも励んだ思われる雪舟私淑して雪村号したが、自身でも述べているとおり、画風はまった異なっている。
 残念ながら雪村生没年はいまだ明らかになっていない天文十一年(一五四二)二月に『説門弟資』を著し、同十五葦名盛氏に『画軸巻舒法』を与えたこと、永禄七年一五六四)に「玉澗大軸」を進上したことなどの記録があるほか、天文二十四年九月景初周随が著賛した常盤山文庫所蔵の「叺叺図」(重要文化財 昭和五二六・一一)が現存することなどからおおよそ活躍期をうかがうことができる。知られているだけでも八二歳までの制作活動知られていることからするとかなりの画風の変遷があったとすべきであろう
 これまで雪村作品については人物図と花鳥図中心として、主として後半生から晩年にかけての作品八件が重要文化財指定受けている。そのうち山水図は「風濤図」(昭和一六七・三 野村文華財団)のみである。
 雪村作品には制作年代明らかなものがきわめて少なく作品編年印章変遷に頼らざるを得ない本図には「風濤図」と同一印章が捺されているところから同じく雪村中年期制作になると考えられ、しいて言えば常陸を去ることになった四〇前後の作と推測されるしかしながら本図の趣はすでに後年の作品通ずる、奔放さ見せ風濤図とはかなり異なっており、むしろ前期作品に通する繊細さのこしている。それでありながら完成度高く習作段階はるかに超えて雪村中国画学習の最も優れた成果を見ることができる。本図は彼が独自の画風形成していく過程を知るうえで重視される作品であり、彼の画業全貌把握するうえで欠くことができない思われる
 なお本図はかつて東京帝室博物館であったが、昭和四年に「竹斎読書図」(国宝 昭和三〇二・二)と交換され京都国立博物館所蔵するところとなった



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