第1散文稿とは? わかりやすく解説

第1散文稿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 19:18 UTC 版)

ニュルンベルクのマイスタージンガー」の記事における「第1散文稿」の解説

1845年4月歌劇タンホイザー』を完成させたワーグナーは、夏の保養のためにマリーエンバート(現チェコマリアーンスケー・ラーズニェ)に滞在する自伝『わが生涯によれば、この地でゲオルク・ゴットフリート・ゲルヴィヌスde:Georg Gottfried Gervinusの『ドイツ国民文学の歴史』(1835年-1842年)を読みふけり、「その短い記事からハンス・ザックスを含むニュルンベルクのマイスタージンガーたちの姿がひときわ鮮やかに眼前浮かび上がった」とする。ヤーコプ・グリムの『古いドイツマイスター歌について』(1811年)にも興趣そそられワーグナーが、7月16日、「3幕喜歌劇」として一気書き上げたのが、第1散文稿(A)である。 この時点では「軽い喜劇」であり、ワーグナーの『友人たちへの伝言』(1851年によれば当時構想は「古代アテナイにおいて、悲劇の後に陽気なサテュロス劇上演されたように、『ヴァルトブルク歌合戦』(『タンホイザー』のこと)に真に続きうる喜劇」というものだった。しかしこの計画は、1845年夏に着想した歌劇ローエングリン』(1848年完成)に本格的に取り組んだことにより、立ち消えとなる。さらに、ワーグナードレスデン革命連座して国外亡命の身となったことで、喜劇構想そのものからも遠ざかったこの後ワーグナー1861年に『ニュルンベルクのマイスタージンガー』に再び取り組むまでには十余年歳月要した。 第1散文稿(A)では、登場人物ザックス、ダフィト、マクダレーネ以外は固有名がついておらず、ヴァルターは「若者」、ベックメッサーは「記録係」などとされていた。ザックスの「ニワトコモノローグ」(第2幕第3場)と「迷妄モノローグ」(第3幕第1場)はまだなく、第3幕若者ヴァルター)の「偉大な皇帝たちを讃える歌」を読んだザックスは、「美しい詩芸術終わりを告げ」、自分が「最後の詩人」となる運命嘆き、再びザックス真価認められる日を期して、「城に引きこもりウルリヒ・フォン・フッテンマルティン・ルター書物研究する」よう若者勧めるという内容になっている記録係ベックメッサー)がザックスの詩を盗む場面次の2案が並記されていた。 A案:記録係机上メモポケット入れるものの、これを使うにはザックス同意が必要と考え盗み告白した上で歌詞譲ってもらう。 B案:記録係昨夜騒ぎぶち壊しにされた歌の代わりザックス要求、情にほだされたザックスは、若いころ作っていた詩を提供する。 『友人たちへの伝言』では、ザックスが「若き騎士作った詩を―出所不明偽って記録係に渡すという設定になり、陰謀性が現れている。第2草稿以降は、現スコアと同じ筋立てとなるが、ザックスが「求婚レース」に立候補する意志持っている証拠」としてベックメッサーメモ突きつける、という展開は韻文台本からである。 また、最終ページ残された「神聖ローマ帝国が煙と消えようとも/ドイツ神聖な芸術は残るであろう」というザックス最終演説部分は、この箇所のみ鉛筆書き込まれており、ドイツ書体であることから、第1散文稿を書き上げた後、ワーグナーラテン書体切り替えた1848年12月以前記入推定される詳細は#ザックスの最終演説について参照のこと。)。

※この「第1散文稿」の解説は、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の解説の一部です。
「第1散文稿」を含む「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の記事については、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の概要を参照ください。

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