第二次大戦中の編成
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日本軍の真珠湾攻撃により1941年12月17日キンメル大将は太平洋艦隊司令長官を解任され、少将に戻された。フランク・ノックス海軍長官は合衆国艦隊司令長官の復活をルーズベルト大統領に提言して認められ、大西洋艦隊司令長官(Commander in Chief, Atlantic Fleet: CINCLANT)アーネスト・J・キング大将が起用された。合衆国艦隊司令長官は地域別3艦隊司令長官の上位に置かれて大統領直属となり、沿岸警備艦隊を含む全アメリカ艦艇への指揮権が与えられた。キング大将の提言で、略称のCINCUSが、Sink us(我々を沈めろ!)に通じて縁起が悪いという理由でCOMINCH(コミンチ)に改称された。また、両洋の艦隊を指揮する関係で司令部はワシントンD.C.の海軍省のビルの3階に設置された。 この変更に伴いキング合衆国艦隊司令長官と海軍作戦部長ハロルド・R・スターク大将のどちらが海軍のトップになるか、両人とも相手がトップになるべきだとして齟齬を生じ、スターク海軍作戦部長が1942年3月7日、ルーズベルト大統領に辞任を申し出たため、ルーズベルト大統領は大統領命令で海軍作戦部長をキング合衆国艦隊司令長官に兼任させる事で解決を図り、この時の体制が終戦まで続いた。合衆国艦隊の司令長官は以下の通り。 合衆国艦隊司令長官兼海軍作戦部長(COMINCH-CNO):アーネスト・J・キング大将(1944年12月17日元帥) 太平洋艦隊司令長官兼太平洋方面軍最高司令官(CINCPAC-CINCPOA):チェスター・W・ニミッツ大将(1944年12月19日元帥) 大西洋艦隊司令長官(CINCLANT):ロイヤル・E・インガソル中将(1942年7月1日大将) アジア艦隊司令長官(CINCAF):トーマス・C・ハート (en:Thomas C. Hart) 大将 このうちアジア艦隊は単体で日本海軍と戦える戦力は有しておらず、半数の水上艦を喪失し、1942年2月15日に消滅した。残存艦艇は太平洋艦隊に吸収されたが、ハート大将の階級は退役まで残された。キングの、オランダ海軍のハートに対する仕打ちへの抗議の意味合いが強いとも言われている。 1943年8月に艦隊に艦隊番号を付与して編成を明らかにした。太平洋艦隊に所属する艦隊には奇数番が付与され、ウィリアム・F・ハルゼー大将指揮の南太平洋艦隊は第3艦隊、レイモンド・A・スプルーアンス大将指揮の中部太平洋艦隊は第5艦隊と改称された。中核となる戦力はマーク・A・ミッチャー中将指揮の空母部隊で、第3艦隊に属する時は第38任務部隊、第5艦隊に属する時は第58任務部隊と呼称された。後にミッチャー中将の交代要員としてジョン・S・マケイン中将が第38任務部隊を指揮するようになった。 南西太平洋海軍部隊を前身とする艦隊は第7艦隊と改称されたが、この艦隊は太平洋艦隊には属さず、南西太平洋方面軍最高司令官(Commander in Chief, Southwest Pacific Area: CINCSWPA)ダグラス・マッカーサー陸軍大将の指揮下に置かれた。1942年3月30日の統合参謀本部決定で太平洋戦線の指揮範囲は太平洋方面と南太平洋方面に分割され、ニミッツ太平洋方面軍最高司令官(Commander in Chief, Pacific Ocean Areas: CINCPOA)とマッカーサー南西太平洋方面軍最高司令官は、いずれも統合参謀本部の下に置かれたが、ニミッツにはキング合衆国艦隊司令長官が、マッカーサーには陸軍参謀総長ジョージ・マーシャル大将が命令を出すこととされ、太平洋艦隊司令長官としてのニミッツには、太平洋方面軍最高司令官としてのニミッツ自身が命令を出すこととされていた。初代第7艦隊司令官はアーサー・S・カーペンダー中将であったが、マッカーサーからキングに2度の更迭要求があり、1943年11月26日にトーマス・C・キンケイド中将に交代された。中核戦力は旧式戦艦6隻と護衛空母16隻の上陸支援部隊で、ノースカロライナ級戦艦以降の戦艦やエセックス級航空母艦といった対艦隊用の新型艦船は配属されていない。 大西洋艦隊に所属する艦隊は偶数番が付与されたが、対Uボート専用の戦術分析部門である第10艦隊はキング大将が司令官職を兼任し、大西洋艦隊には属していなかった。 1944年9月にキング元帥はルーズベルト大統領を説得し合衆国艦隊に副司令長官(Deputy Commander in Chief, U.S. Fleet: DCOMINCH)のポストを増設、合衆国艦隊参謀長だったリチャード・S・エドワード中将を任命した。同時に海軍作戦部に部長と副部長(Vice Chief of Naval Operations: VCNO)の間に次長(Deputy Chief of Naval Operations: DCNO)のポストも増設、この職もエドワード中将が兼任した。
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