競馬関係者による評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 06:18 UTC 版)
「ディープインパクト (競走馬)」の記事における「競馬関係者による評価」の解説
ディープインパクトを管理した調教師の池江泰郎は、3歳春の時点で同馬を「理想的なサラブレッド」と言い、長所として騎手の指示に対する反応の良さを挙げている。14戦全てに騎乗した武豊は、弥生賞後のインタビューにおいて同馬の長所は何かという質問に対して負けないところだと答えている。その後武は、負けないという意味は「すべての面でほかの馬を圧倒している」ということだと発言している。ダービー後のインタビューでは「ぼくはずっとこういう馬を探していた、という感じ。」と表現し、後に改めてその発言の意味を具体的に聞かれ「すごくシンプルに、走るのが速い馬。スピードがあるとか、持久力があるとか、全てを通り越して、圧倒的に足の速い馬が現れるのを待っていた。」「(自身が騎乗した)オグリキャップもスペシャルウィークもサイレンススズカも速かったけど、それとはまた感じの違う速さ。どっちが上とかじゃなく。」と答えている。ほかにも武は「ディープインパクトがフランスで調教されていたら、たぶんフランスでデビューして、フランスダービーとかを普通に勝っていたでしょうね。「オリビエ(・ペリエ)あたりが乗って」とも語り、ディープインパクトの現役時代は自身が海外遠征へ出向いた際にオリビエ・ペリエやクリストフ・ルメールが、ジョッキールームで現地の騎手に「日本にはディープインパクトという凄い馬がいて、最後の直線だけで全部負かしてしまって…」と熱心に語っていたという。 菊花賞で無敗の三冠馬となったディープインパクトだが、同じ無敗の三冠馬のシンボリルドルフとの比較という点においては、同馬の主戦騎手だった岡部幸雄が「ルドルフのほうが強い。ルドルフは競馬のすべてを知り尽くしていた」、「終始馬体を併せる作戦を取ればルドルフなら勝てる」と答えており、ディープインパクトにはシンボリルドルフに匹敵する能力があるとしつつ、欠点の少なさにおいてはシンボリルドルフの方が上であると評している。しかし同時に、自ら「ディープインパクトの追っかけ」と言うほどのファンでもあり、凱旋門賞のときは声を荒らげて応援していた。一方、ノーザンファーム場長の秋田博章は、「ルドルフはソツのないレース巧者」で「優等生という印象」と言ったうえで、「ディープの強さは並ぶ間もない圧倒的なもの」と発言し、「一枚上」だと評価した。柴田政人の場合は菊花賞のあとに「ルドルフを超えたというよりもすごい馬が現れたと感じている。潜在能力がまさにケタ違い」と評している。 安藤勝己は最も印象に残っているディープインパクトのレースに新馬戦を挙げており、その理由は「レース終わってユタカちゃんがG1制した時でも見せない表情で興奮してた」というものであり、「伝説を残すってその時点で確信した」と述べている。また、「キンカメでダービーを勝たせてもらって、その翌年にディープのようなスーパーホースが出てくるとは思わなかった」といい、「セレクトセール出身で、実績で産駒でその価値を高めて、日本競馬のレベルを飛躍的に押し上げた」と述べている。尚安藤は後年騎乗にあたってディープインパクトはレースぶりが独特なので自分は苦手だと語っている。 コンゴウリキシオーやフサイチアウステル等で対戦経験のある藤田伸二は、著書「騎手の一分」の第3章「強い馬とは何か」の中で「別格だったディープインパクト」という項目を設け、「積んでいるエンジンが全く違った。」、「騎手の腕なんて関係なく、誰が乗っても勝てる馬だった。」「ディープと同じレースに出走する時はみんなディープの2着を狙っていた。」と述懐している。 オリビエ・ペリエは2008年にメイショウサムソンが前哨戦を使わずに凱旋門賞に挑戦することが報道された際に、現地の記者から「なぜ日本の馬は休み明けで使いたがるのか」と質問された際にディープインパクトの名前を挙げて「日本のトップホースは充分に凱旋門賞を勝てるだけのレベルにある。ただ、このレースは休み明けで勝てるほど甘いものではない」と前置きしたうえで、「僕はいまでもディープインパクトは一回叩いていれば勝てたと思っているんだ」と質問に答えている。 競馬評論家の井崎脩五郎は、ディープインパクトの新馬戦の翌日に行われたイベントで「今まで(=数十年間)見てきた中で、一番『これは強い』と思ったレースは?」と振られ「昨日のディープインパクトの新馬戦」と答えた。その後井崎は、ディープインパクトのことを「競馬史上の最強馬」ではないかと発言した。その理由として、名馬のレースで「なんだこれ!?」と感じるのは1頭に1回だが、ディープインパクトの場合は新馬戦と2戦目の若駒ステークスの2回連続でそう感じたことを挙げている。 また、競馬評論家の合田直弘は日本国外にもディープインパクトを高く評価している競馬記者が複数存在することを証言している。合田が指摘しているように、イギリスのレーシング・ポスト紙は2006年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングのレイティングが日本の競馬のレベルを低く見すぎていて保守的であると不満を唱え、独自のレイティングでディープインパクトを133ポンドで世界一にしている。合田によると、香港にも「35年間競馬を見てきた中でディープインパクトは一番印象的だった馬」と述べ、ディープインパクトに高評価を与えた記者がいるという。
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