現代的なストリートペーパー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 06:13 UTC 版)
「ストリート新聞」の記事における「現代的なストリートペーパー」の解説
米国における現代的なストリートペーパーの登場は1980年代終わりで、ホームレスの増加という要因や、主流メディアによるホームレスの取り上げ方に対するホームレス支援者の不満を受けてのものだった。当時、多くのメディアはホームレスを犯罪者や薬物依存者のように扱っておい、社会的や政治的要因ではなく自身の怠けによってホームレスになるものだと決めつけていた。従って、最初のストリートペーパー創刊の動機の1つが、既存メディアによるホームレス叩き報道への対抗だった。 1989年代終わりにニューヨークで創刊したストリート・ニュースが初の現代的なストリートペーパーと度々言われている。創刊時には既に中小の新聞が発行されていたものの、ストリート・ニュースは最も注目を集め、多くの他紙にとって「カタリスト」となっていった。その他多くのストリートペーパーも1990年代初めに創刊され、1992年にボストンで創刊した『スペア・チェンジ・ニュース(英語版)』のように知名度の高いニューヨークの新聞を参考にしたものもあった。この間に、毎年平均5紙が新規に創刊された。この躍進はホームレスに対する考えや政策の変化、デスクトップコンピュータを使用することで発行が容易になったことに起因するとされ、フィリピンのジープニー紙編集者のウィリアム・ショーは特に西洋での政府支援がストリートペーパーの繁栄の有力な原動力になったと述べている。2019年時点で世界35ヶ国、25の言語で100以上のストリートペーパーが発行されているが、2018~2019年には世界で1900万部以上が売れ、推定460万人に読まれており、20500人のホームレスや生活困窮者が自身の生活のために販売している。 ストリートペーパーは米国やヨーロッパを中心に世界中の主要都市で始まっており、特にドイツでは1999年から他の欧州地域と比べストリートペーパーの市場が拡大していて、スウェーデンでもAluma(スウェーデン語版)(現在は休刊)、Situation Sthlm、Faktumが2006年にスウェーデン出版社協会(スウェーデン語版)によるジャーナリズムのグランド賞を受賞している。そしてストリートペーパーはカナダ、アフリカ、中南米、アジア・オセアニアのいくつかの都市でも創刊している。アジア・オセアニアは日本、韓国、台湾、オーストラリアで『ビッグイシュー』がある。また、米国でもいくつかのストリートペーパー(例えばシカゴの二ヶ国語新聞であるハスタ・クアンド)が英語以外の言語で発行している。 1990年代中頃、ストリートペーパーの活動を強化するために業界団体が設立された。国際ストリートペーパー・ネットワーク(INSP、1994年設立)や北米路上新聞協会(NASNA、1997年設立)はストリートペーパーの支援と倫理基準の遵守を目的に活動している。特にINSPは新たにストリートペーパーを創刊する団体を支援したり、1990年代には主要メディアにストリートペーパーを取り上げるよう働きかけたり、国を越えた運営団体の交流を促進した。INSPとNASNAは2006年に自身のリソースを統合することを票決し、各誌がコンテンツを共有するニュース・サービスの運営や、記事をインターネット上でアーカイブするプロジェクトを共同で行った。国単位のストリートペーパー業界団体は欧州(イタリアには国内業界団体、オランダではストラートメディア・グループ・ネーデルランドがある)でも結成されている。
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