特殊な与格とは? わかりやすく解説

特殊な与格

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/30 08:37 UTC 版)

与格」の記事における「特殊な与格」の解説

主語主格ではなく与格標示する構文与格構文)も多く言語用いられる。これは主として主語主観的な感覚感情希望あるいは能力など表現する場合であり、日本語では「私には幽霊見える」「彼に水泳できない」などの言い回しこれに当たるグルジア語ではさらに多く場合用いられる英語では現代用いられないが、"Methinks ..."、"Meseems ..."(私には...と思われる)という古い言い方では、Meが与格主語である。 ラテン語古代ギリシャ語スペイン語ドイツ語などには、本来は与格取らない動詞に、それと利害関係のある対象与格形式加える(与格を取る動詞にさらに追加することもある)構文があり、この形式Ethical dative(倫理与格または心性与格などという)と呼ばれるスペイン語…"Me llovió."「私に降った」=「降られた」 ラテン語…"quid mihi Celsus agit?"「ケルススは(私に)何をしているんだ?」:「私」直接何かをするのでなくても、困ったことならないかと心配する表現。 英語にも古い類例はあるが、現代英語にはほとんど用いられない。ただし他動詞に関して利益を表す構文"He built a snowman for me."(彼は私に雪だるま作ってくれた)などに限り、"He built me a snowman."と言い換えるともできる。この構文では利害関係表さない本来の文よりも、動詞の項が1つふえることになる。 倫理与格相当するものとして、日本語には「私は子供障子破られた」「私は降られた」のような特殊な受動態間接受身:"所有受身"や"迷惑の受身")がある。これも利害関係者を意味上の与格ととらえ、さらにそれを主格直して受動文にしたもの考えることができる。ただし両者には次のような違いがある: 倫理与格構文では、それを主語にする受動態として表現することは普通ない。一方日本語では、必ず受動態として表現し能動態としては現れない。 倫理与格は必ずしも人を表すとは限らないが、日本語間接受身主語はほとんど必ず人である。 間接受身は「利害関係といって専ら被害」の場合にのみ用いられる倫理与格は「利益」の場合でも使える日本語で「利益」の場合には受動態でなく「お母さん夕食用意しておいてくれた」のような能動態授受表現用いられる(皮肉を込めて「えらいことをしてくれたね」という言い方はある)。 これらは日本語受動態が、主語意志によらないことを強調するために用いられることと関係している。 言語異なると、ほぼ同じ意味の動詞であっても目的語を示す格が異な場合よくある英語では目的語1つしか取らない動詞では、その目的語直接目的語対格として扱われる。しかしこれが与格として扱われる言語もあり、例えドイツ語動詞folgen(に従う)、helfen(を助ける)、antworten(に答える)などがある。日本語にも「従う」「答える」など、形式的に与格と同じ「に」を取る動詞は多い(ただし授与動詞に関しては「太郎花子花束贈った」を「花子太郎から(に)花束贈られた」と言い換えることができるのに対し、「生徒たち先生従った」を「先生生徒たち従われた」と言い換えることはできないので、全く同じ形式とはいえない)。 表 話 編 歴 格と格変化文法格呼格 斜格 主格(名格) 絶対格 属格生格対格 能格 分格 変格 与格 様格 意味格因格 共格 具格造格欠格 向格 時格 出格 処格地格前置格) 上格 接格 奪格 着格昇格) 通格 到格 内格 入格 離格降格

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「特殊な与格」を含む「与格」の記事については、「与格」の概要を参照ください。

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