清刊本と道教的神秘化とは? わかりやすく解説

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清刊本と道教的神秘化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:55 UTC 版)

西遊記の成立史」の記事における「清刊本と道教的神秘化」の解説

満洲人清朝成立し1644年に明を駆逐『西遊記』明代とはまた若干異なった進化をみせる。康熙雍正乾隆年間にかけて言論統制進み、反満洲もしくは邪教的な書と見なされた著作多く禁書となった(特に雍正帝時代筆禍事件は凄まじく「文字の獄」と呼ばれる)。出版業者官憲による小説禁圧回避するため、小説類の生き残り策模索する『西遊記』内容道教色彩加えて、黄太・汪象旭が康熙初年に『新鐫出像古本西遊道書』(以下『西遊道書』)という書名新たな刊本刊行した。 『西遊道書』では禁圧避けつつ、多く人々に売るための様々な工夫行っている。まず元代儒学者詩人である虞集仮託し天暦己巳(=1329年付けの「原序」の中で、『西遊記』作者チンギス・カン仕え神聖視されていた道士丘処機長春真人)であると称した。また冗漫な長い詩詞や挿絵を削るなど物語全体簡略化し、書冊ハンディな形にして、出版上のコストダウン追求。さらに明刊本では削除されていた、三蔵法師出生まつわる父母災難物語江流和尚説話復活させて、唐太宗孫悟空らとの因縁呼応するように改編し、西天取経と唐三蔵前世とを関連づけ、西天取経関係者がすべて因果の法糸によって結ばれているように再編した。こうして『西遊道書』は、明刊本よりも安い上に内容増え、しかも伝説道士長春真人お墨付きというキャッチフレーズ販売されたため、多数読者歓迎を受け、広く流布することになる。 『西遊道書』の影響きわめて大きかったが、明代版本より文字量が減って内容軽くなったことに不満を持つ読者もいた。そこで『西遊道書』を踏襲しつつも、明の李卓吾本の要素参考して省略字句数をバランスのとれた量に戻し整理編集されたのが康熙33年1694年)刊の『西遊真詮』(1巻)である。猪八戒道教三清の像を糞壺投げ込む箇所(世徳堂本では第44回)を池の中へ入れるように改めるなど、全体的に破天荒さを抑制して常識的な編集行い好評得たこのため西遊真詮』は清代通して最も流布し版本となった。現在にいたるまで最も流通しているテキストは『西遊真詮』である。清代特定の刊本普及し、他の刊本徐々に整理淘汰されるのは『三国志演義』(毛宗崗本)や『水滸伝』(金聖歎本)でも同じ傾向見られる。こうして明刊本廃棄消尽でほとんど国内から消え日本など外国のみに残存する状況となった。 このほか清代中期仏教物語道教神秘性装いを一層深め道教経典のような体裁をとった劉一明『西遊原旨』(1810年)や、『西遊道書』の後継テキストとなる『西遊証道奇書』『西遊真詮(前述同名書とは異なる十巻本)』などの名称で、多少改編省略加えられながら様々な『西遊記』刊行された。繁本系では世徳堂本基本陳光故事挿入した張書紳『新説西遊記』(1749年)も出ている。

※この「清刊本と道教的神秘化」の解説は、「西遊記の成立史」の解説の一部です。
「清刊本と道教的神秘化」を含む「西遊記の成立史」の記事については、「西遊記の成立史」の概要を参照ください。

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