法律にて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 16:14 UTC 版)
日本の戸籍法第50条、戸籍法施行規則第60条の規定に基づき、常用漢字、平仮名、片仮名を用いることができるほか、常用漢字以外で認められる人名用漢字は同規則 別表第二で具体的に定められている。ただし、戸籍には氏名の読み方までは登録されないため、使用可能な漢字を用いる限り(名前が漢字である場合)、戸籍上の氏名をどのような読みにするかについての法的制限は基本的にない。ただし、出生届が受理されない場合もあり、その点をめぐっての判例がある。たとえば、親と同一の名前を子につけようとしたケースでは、名古屋高等裁判所が「難解、卑猥、使用の著しい不便、特定(識別)の困難などの名は命名することができない」として出生届の不受理を支持した。また、一般的に悪の印象がある名前でいったん受理された出生届を法務省が無効にしたケースでは、東京家庭裁判所八王子支部が「社会通念に照らして明白に不適当な名や、一般の常識から著しく逸脱したと思われる名は、戸籍法上使用を許されない場合がある」としたものの、「受理された出生届を抹消することは許されない」と判断した。 しかし、珍奇な名前を付けられた子供が社会生活上不利益を被る(笑われる・いじめられる・就職活動の際に不利な扱いを受けるなど)ことがあるのも事実であり、このような場合には最寄りの家庭裁判所に名の変更届を提出し、許可を得ることによって改名をすることができる(名の変更届の項目を参照)。この点については、名古屋高等裁判所も先述の判決において、「親権者がほしいままに個人的な好みを入れて恣意的に命名するのは不当で、子供が成長して誇りに思える名をつけるべき」という見解を示しており、これに違反するような命名をされた子供は家庭裁判所で改名を認められる可能性が高いと言える。2019年3月5日に甲府家庭裁判所で変更を認められた高校生は、15歳になれば親の同意がなくても本人の意思で家庭裁判所に改名を申請できることから、「もし、名前で苦しんでいるのなら、勇気を出して行動してほしいです。改名することで人生が変わるかもしれません」と訴えている。 日本国外における名前に関する規制の事例としては、メキシコ北部ソノラ州の州法で子供をいじめから守るためとして、「ヒトラー」など侮辱的・差別的で意味が欠如している61個の名前が禁止されている。ニュージーランドでは「プリンセス」など公的な称号や階級を示唆する名前が禁止され、ほかにも77件却下されている。ベトナムでは2020年7月16日に国民の名前に関する新たな規定が制定され、銀行口座が作れないほど長すぎたり、国・民族の慣習に合わない名前を事実上禁止された。ベトナムの地元紙によると、「スイス時計」や「同性愛」と読める名前が実在するという。スウェーデンでは命名への政府介入を定めた法律があり「スーパーマン」などの名前が不承認とされたこともあったが、命名規制そのものに反対する声もあり、裁判で政府判断が不当だとして命名が認められたケースもある。韓国では1997年に発生した「パク・チョロンチョロンビンナリちゃん誘拐殺人事件」(ko:박나리 유괴 살해 사건)の被害者の少女の奇抜な名前が世間の関心を呼んだため、これ以降、ハングル5文字以上の名前や漢字語と固有語の混合名は戸籍に登録できなくなっている。米国や英国をはじめ一般的でない名前についての規制をもたない国が大多数であり、日本以外の国でも名前は多様化している。
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