歪んだ楽園
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 20:33 UTC 版)
「クリストファー・パイク」の記事における「歪んだ楽園」の解説
「en:The Cage (Star Trek: The Original Series)」も参照 2254年、U.S.S.エンタープライズはヴェガ・コロニーへ向かう途中、タロス4号星からの救難信号を受信する。しかし生存者の確認が得られなかったため、指揮官のパイクはその信号を無視し、負傷者の治療を優先させるべくコロニーへの進路維持を命じる。その2週間前、上陸したライジェル7号星で原住民(ケイラー人)の襲撃に遭い、上陸班のうち3人が死亡、7人が負傷するという事態が生じたためである。パイクはライジェル事件の責任を重く受け止め、フィリップ・ボイス医療主任との会話の際には艦隊からの引退を仄めかし、指揮官としての自信を失いつつある旨を語っている。 救難信号から生存者の確認が取れたとの報告を受け、パイクは進路変更を命じる。発信元は18年前に消息を絶った地球の測量船S.S.コロンビアと判明し、上陸班を組んでタロス4号星へ転送降下する。上陸班一行は、キャンプ生活を続けながら生存していた乗員たちと遭遇し、救出の歓迎を受けるが、その生存者の一人にヴィーナという若い女性がおり、パイクはその美貌に魅せられる。 ヴィーナに促されて岩山の一角に来たパイクは、地底から現れたタロス人によって不意に拉致され、動物園のごとき施設に監禁されてしまう。肥大した頭部を持つタロス人と対峙したパイクは、彼らがテレパシー能力に長け、救難信号もヴィーナ以外の生存者も、エンタープライズを誘い込むための幻影だったと知る。さらに、過去の戦争によって荒廃した惑星を復興させるべく、パイクとヴィーナをつがいにして再び人口を増やすという、彼ら本来の目的も告げられる。 拘束は不当だとして抗議するものの、パイクの思考は全て読み取られ、時には鮮明な悪夢を見せられることで抵抗の意思を失くすよう仕向けられる。また、タロス人の生み出す高精度な幻影投射によって、パイクの記憶や願望にヴィーナが度々現れ、共に過ごす人生を疑似体験させられる。次第にヴィーナへの情が芽ばえるパイクであったが、体感したもの全ては幻想に過ぎないとして拒否の姿勢を貫き、ヴィーナからタロス人への理解を勧められても抵抗を続ける。業を煮やしたタロス人は、エンタープライズから女性クルー2人(ナンバー・ワン(英語版)とコルト)をさらって施設に転送し、3人から選べと更なる要求をしてはパイクを悩ませる。 度重なる理不尽な扱いにパイクは激しい怒りをタロス人にぶつけるが、その際に原始的な感情への対処にタロス人が不慣れだと気付くようになる。やがて一計を案じたパイクはクルー2人の協力の下、怒りの感情を利用することでタロス人を出し抜き、辛うじて施設からの脱走を果たすこととなる。その後、改めてタロス人と対峙した際には、檻の中の平和な生活を得るぐらいなら死を選ぶと伝え、タロス人からも地球人の扱いには面倒が伴うとして解放が認められる。 エンタープライズに帰艦する際、共に行こうとヴィーナを誘うが頑なに断られてしまう。その理由として、実際の彼女はコロンビアの事故で瀕死の重傷を負っており、後遺症の苦痛に耐えるためにはタロス人の施す幻影が不可欠だと知らされる。タロス4号星外では生活が困難と悟ったパイクはヴィーナの意思を尊重し、不本意ながらも彼女を残して帰艦することとなった。結果的に、このタロス4号星での逆境の克服がパイクに自信を取り戻させ、改めて艦隊士官として生きる決意を抱かせている。
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