明障子の誕生とは? わかりやすく解説

明障子(あかりしょうじ)の誕生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 18:02 UTC 版)

板戸」の記事における「明障子あかりしょうじ)の誕生」の解説

詳細は「障子」を参照格子」は古文書では、「隔子」と書かれている事が多く元慶七年884年河内国観心寺縁起資財帳によると、如法堂の正面に「隔子戸」四具が建てられていたと記録されている。 戸とあるから、ではなく大陸様式開き戸であった考えられる寺院建築正面には扉形式格子戸多用されるようになり、さらに『多武峰略記』によると、天禄三年建立され双堂形式講堂内陣正面格子戸五間を建て込み内陣外陣間仕切り格子戸三具を建て込んでいた。 平安時代後期になると、引き違い格子戸広く使用されるようになった。『源氏物語絵巻』『年中行事絵巻』などには、黒漆塗り格子戸引き違い使ったり、嵌め込み式に建て込んだ間仕切り様子描かれている。天喜元年1053年藤原頼通建立した平等院鳳凰堂四周開口部には扉を設けているが、その内側に格子遣戸もあわせ用いている。このような格子遣戸の用い方は、隔て機能果たしながら、採光通風を得る事ができる。機能としては、明障子全身ともいうべきものである。 明障子の誕生は、平安末期のころである。六波羅の地には平家一門邸宅が、甍を競って建ち並んでいた。なかでも平清盛六波羅泉殿は、その権勢象徴する豪壮な邸宅であったという。 その復元図によると、従来寝殿造りとはかなり異なり間仕切り多用した機能的合理的工夫みられるその中でも、明障子使用画期的な創意工夫であった室外との隔ては、従来壁面除き蔀戸舞良戸主体であり、開放する雨風を防ぐ事ができず、誠に不便な建具であった採光隔て機能を果たすため、簾や格子などが使用されていたが、冬期誠に凌ぎにくいことであった京都盆地でことに冬期底冷えつとに有名である。室内では、屏風めぐらし几帳囲み火鉢抱え込んだ思われる隔て採光機能充分に果たし、しかも寒風を防ぐ新し建具として、明障子誕生した。しかし、明障子のみでは風雨には耐えられないため、舞良戸格子などと併せて用いられた。六波羅泉殿寝殿北廂の、外回り明障子三間わたって使用されていた。 『山槐記』には、この寝殿広廂に「明障子撤去する」とか「明障子を立つ」などの記述もある。平清盛願文添えて長寛二年(1164年厳島神社奉納した平家納経図録には、僧侶庵室明障子が描がれている。 この時代明障子構造は、四周組み、太い竪桟二本横桟四本わたし、片面に絹または薄紙貼ったものであったという。 寝殿造り室礼記した古文書中に、 「をたてまわし鴨居を置きてのち、塗子(ぬりこ)の明障子を間ごとに覆う」 とある。『春日権現絵日記』にも、黒塗り明障子描かれている。また、襖障子同じように、引手に総が付けられている。明障子歴史的発展過程で、漆の塗子の縁が寝殿造り使用され襖障子同様な室礼としての位置付けがあった事は、興味深いことである。 に細い組子骨用い現在のような明障子は、鎌倉時代絵巻物多く登場するうになるが、多少時間技術改良を必要とした。明障子壊れやすく、現存するもの極めて少ない。 南北朝期康歴二年(1380年)の東寺西院大師堂再建当時のものとされている明障子が、最古明障子と言われている。上下同じような幅でできており、縦桟横桟交互に編み付け地獄組となっており、また見付け見込みもほぼ同じ寸法でできている。 なお一本の溝に二枚明障子引き違いにするという、子持ち障子というものもある。元興寺鎌倉時代禅室明障子が、一本の溝に二枚明障子引き違いにしている。当時のみで深い溝を彫るのは、相当の手間であったであろう二本の溝を彫るよりも、幅の広い溝を一本彫るほうがわずかに簡単であったであろうか。禅宗様建築であることから、技巧的遊び考えた方が妥当と思われる一本の溝に二本障子入れても、そのままではどうにもならない。そこで召合わせ縦框そのままにして側の縦框をほぼ溝幅に合わせて作ってある。こうする明障子外れことなく引き違うことができる。ちょっとした工夫である。子持ち障子は、禅宗方丈建築最古の遺構である、東福寺竜吟庵方丈にも使われている。ここでは、一本の溝に四本明障子立てられている。中央の二枚上記方法引き分けられ、外の二枚は幅が狭く開閉できない嵌め殺しとなっている。禅宗様建築では、随所意匠工夫技工斬新さが見いだされる

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