日本の治安
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 09:50 UTC 版)
詳細は「日本の犯罪と治安」、「世界平和度指数」、および「アメリカ合衆国の犯罪と治安」を参照 エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economic Intelligence Unit/EIC)が発表している「世界平和指数(Global Peace Index) 2018年版」での順位は、163ヶ国中、日本が9位、アメリカが121位だった。 順位が低いほうがより安全となる「世界テロ指数(Global Terrorism Index) 2018年版」では、163ヶ国中、日本が67位、アメリカが20位、イギリスが28位、フランスが30位だった。 「都市別安全度ランキング(Safe Cities Index) 2017年版」では、60都市中、東京が1位、大阪が3位だが、アメリカの都市はサンフランシスコ17位、ニューヨークとロサンゼルスが21位、シカゴ27位、ワシントンDC28位、ダラス34位となっていた。 経済協力開発機構(OECD)の犯罪統計「犯罪被害者数の対人口比」では、日本は他の先進国と比較しても珍しく、2017年までの15年間「犯罪率の低い国」という立ち位置を維持している。また、イギリス警察が2009~2010年に10万人当たりの凶悪犯罪発生率を国別に分析した資料では、34ヶ国中、日本は殺人33位、強姦は34位と安全なほうだった。 警察庁「犯罪統計 2018年度版」では、殺人の認知件数が915件(そのうち少年は33件)で、刑法犯の認知件数の合計は817,338件だった。刑法犯の認知件数がピークだった2002年以来、件数は3分の1に減っており、「犯罪白書 2018年度版」では「治安情勢および体感治安には一定の改善がみられる」とした。一方、ストーカーやドメスティックバイオレンス、児童虐待などの「人身安全関連事案」、振り込め詐欺やサイバー犯罪など「非対面型犯罪」が増加傾向にあるとした。 諸外国の犯罪動向は、国連薬物犯罪事務所 (UNODC/United Nations Office on Drugs and Crime)が実施した犯罪情勢等に関する調査(UN-CTS/United Nations Survey of Crime Trends and Operations of Criminal Justice Systems)を使用した分析が「犯罪白書 2018年度版」に載っており、殺人、強盗、窃盗、強制性交等について、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの4ヶ国の犯罪動向と、日本の犯罪指標の推移(2015年までの最近5年間)が掲載されている。 性犯罪と違い、暗数や定義の違いによる国家間の差が少ない殺人において、2011年、2015年の比較は以下となる。なお、発生率は10万人あたりのもの。 殺人/2011年 発生件数 発生率 日本 442 0.3 アメリカ 14,661 4.7 イギリス 641 1.0 ドイツ 738 0.9 フランス 856 1.4 殺人/2015年 発生件数 発生率 日本 363 0.3 アメリカ 15,883 5.0 イギリス 649 1.0 ドイツ 682 0.8 フランス 1,017 1.6 統計データ分析家の本川裕は2017年、先進国の各国比較では、銃社会が特徴のアメリカで他殺率が特段に高く、日本は他殺率が非常に低いレベルであると分析した。しかし、日本は犯罪率の低さと、実際に感じている治安に対する安心感(体感治安)が一致していない。これは1990年代末~2000年代初頭にかけて、警察が告訴や被害届を積極的に受理するなど対応を変更し、犯罪認知件数が急増した際、マスコミに犯罪増加のデータが頻繁に登場したことで、体感治安が急激に悪化したとしている。法学者で龍谷大学教授の浜井浩一は、凶悪犯罪の過剰報道によって作られたモラル・パニックを「治安悪化神話」と名付けた。 本川裕は「安全と安心は別と言われるが、社会が安全であるのに、統計データの誤用や誤解によって無用な社会不安が生まれる事態だけは避けたい」とした。
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