新生児感染症とは? わかりやすく解説

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新生児感染症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/09 04:00 UTC 版)

新生児感染症(しんせいじかんせんしょう、英語:Neonatal infection)とは、主に出産前や生後4週間前後に新生児が感染する感染症である[1]

概要

出典:[2] 感染の原因としては、母子感染や出産時の産道感染、ごくまれに出産後に感染することもある。 症状は出産後すぐにあらわれたり、数週間かけて症状が出る場合もある。 HIVマラリアなどの新生児感染は、数か月後などかなり後になって判明することもある。

感染原因

新生児感染症の主な原因は過去に母体感染が一度でもあったり、早産(妊娠37週間未満)、早期破水などがあげられる。この場合、乳児の出生前に細菌子宮内に侵入する経路を作ってしまい、最終的には新生児敗血症などのリスクを高める。 新生児感染症は主に早産児や低出生体重児がかかりやすいとされている。[3]

兆候・症状

兆候や症状は呼吸困難体温不安定、易刺激性哺乳不良、発育不良、泣き止まない、皮膚発疹などがあげられる。[4]

合併症

合併症としては主に乳児呼吸窮迫症候群(しんせいじこきゅうきゅうはくしょうこうぐん)があげられる。早産児の呼吸困難を引き起こす疾患である。

有効的な薬

主に有効的な薬は抗生物質である。特に、迅速に病原体が発見されたときに効果的であり、治療は新生児集中治療室(NICU)で行われている。しかし、新生児死亡率の低下はしておらず、さらなる研究が必要とされている。

原因となる菌

  • 細菌による感染
妊婦の消化管や消化尿路に存在する細菌が新生児感染症を引き起こすリスクが高いとされている。
特にカテーテル処置がなされている場合、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌によるものがほとんどである。
乳児生後1ヶ月以降に発生する感染症は、グラム陽性細菌とコアグラーゼ陽性ブドウ球菌によるものである可能性が高くなる。
  • 早発性敗血症(EOS)は生後72時間に症状が出ると定義されており、一般的には女性泌尿生殖器系から胎児へ病原体が行き届くことによって発症する。
  • 遅発性敗血症(LOS)は生後72時間以降、一般的に出生後の環境からの病原体の伝播によって引き起こされる病気である。
血管内カテーテルなどの侵襲的処置を必要とする乳児は発症する可能性が高くなる。
  • B群連鎖球菌(GBS)は、新生児の早期に発症する病気の大部分として特定されている病気である。
妊婦の消化管と生殖管に定着し、母体感染した場合は通常、無症状である。
この病原体は垂直感染するため、妊娠中には定期的に細菌スクリーニングが行われる。
細菌が母親の消化管、泌尿器系で見つかった場合、妊婦はIV抗生物質(通常はペニシリンまたはアンピシリン)を投与する。
  • 大腸菌は妊婦の消化管および泌尿器系に広く分布するため、新生児感染症を引き起こす可能性があり、β-ラクタム耐性大腸菌感染症は、極低出生体重児および未熟児の新生児死亡の原因となっている。
  • 淋菌は出産時に妊婦に存在する可能性がある一般的な性感染症である。この病原体は通常、出産時に感染し、30%から40%の確率で新生児に発生する。
大腸菌感染症の主な合併症は新生児敗血症と新生児髄膜炎がある。
新生児における淋菌感染症の最も一般的な症状は新生児結膜炎である。これは、緑黄色の滲出液と眼瞼腫脹を伴う眼の感染症であり、治療しなければ、この感染症は永続的な視力障害につながる可能性がある。淋菌結膜炎の治療は、セフトリアキソン(抗生物質)の単回投与。通常、すべての新生児(症状やリスクにかかわらず)は、出産後に両眼にエリスロマイシン軟膏を塗布される。
  • リステリア・モノサイトゲネスは、雑菌が付いた食品を通して感染し、母体に存在する。この病気は母体の自覚症状により判断ができる場合がある。この細菌は主に動物性の食品を食べることで感染する。
  • 破傷風菌とは、新生児に全身性破傷風を引き起こす可能性がある感染症である。この病気は通常妊婦が破傷風ワクチン接種を受けておらず、乳児が受動免疫を獲得していない場合に発生する。
  • その他では、化膿レンサ球菌、緑色レンサ球菌、肺炎レンサ球菌、インフルエンザ菌、緑膿菌などがある。

ウイルス

  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、子宮内における母子感染、または出産後の授乳によって発生する可能性があり、感染のほとんどは分娩時に発生する。
  • サイトメガロウイルス →「サイトメガロウイルス」を参照
  • 単純ヘルペスウイルス →「単純ヘルペスウイルス」を参照
  • 肝炎 →「肝炎」を参照
  • その他新生児期のRSウイルス(RSV)、メタニューモウイルス(hMPV)、ライノウイルス、パラインフルエンザ(PIV)、ヒトコロナウイルスなどの他のウイルス感染症

参考文献

  1. ^ 新生児の感染症の概要 MSDマニュアル家庭版 2025年5月6日閲覧
  2. ^ 新生児感染症の概要 MSDマニュアルプロフェッショナル版 2025年5月6日閲覧
  3. ^ 新生児感染症 日産婦誌45巻1号記事 2025年5月6日閲覧
  4. ^ 新生児感染症の症状 2025年5月6日閲覧。



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