文化における意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 05:10 UTC 版)
江戸時代の日本では、現在の表現でいう夜の正12時に相当する正子・子の時には時の鐘を9回鳴らし、「夜九つ」または「暁九つ」と呼ばれた。これは陰陽道では奇数を縁起のよい陽の数とし、その極値が9であることによる。ちなみに夜間専用の時刻の呼び方である更点法では三更三点と三更四点の中間に当たる。 日本では、子の時の次は丑の時(1-3時)、丑の刻をさらに四つに分けた第三刻(午前二時から三時の間)を丑三、丑三刻と呼び、この時刻を草木も眠る時間とされる。この時刻は、陰と陽の境界である丑寅の方角を鬼門としたのが時刻にも波及し、妖怪などが跋扈しやすい時刻とされた。また、この時間は日蓮正宗の天台座主が丑寅勤行を行う時間である。 ドイツ語では23時-翌日の1時までのMitternacht(真夜中)をGeisterstunde(幽霊の時間)と呼び、幽霊や悪魔、魔女の跋扈する時間とされた。 旧来の魔術的な考え方では、midnight は solar midnight、つまり、solar noonの対蹠であるとされている。これは、実世界と別世界(otherworld) を、光の近地点と暗黒の遠地点とに結び付けて考える思考軸となっている。こうして、midnight はカオス・死・黄泉の世界やミステリーを連想させるものとなった。最もひらめく瞬間は、仙骨が自ら現れるときだ、とも考えられていた。もちろん、ひらめきは上述のような暗黒と結びついていると考えられており、midnightには霊魂・幽霊・悪霊・悪魔が訪れるものだと思われていた。 すべての超自然的な闇の生物は— おそろしい夜行性の肉食動物を連想させるが— 夜に出没し、その中間点、つまり midnight に彼らの能力は最大になると信じられていた。スラブの民話によれば、midnight は シチシガ が人の血を吸いに墓から起き上がる時間で、破滅が眠っている人の息を止めに襲撃し、悪魔が罪人のところにやってくる時刻である。ポーランドのユダヤ教徒には、midnight は生きた人間にとり憑いて身体を操る悪霊が民衆に取り付き、狂気を引き起こす時刻と信じられていた。 夜が混沌や原始性という面をもつことから、別世界から召喚されるすべての行動は、夜の最高点で行われるのが最も容易である。悪霊や悪魔のような超自然的な存在は、どの地域でも、人間の召喚に応えることになっていた。— それは、死をかけた願いであり、飢饉の呪い、悪魔への服従や契約であった。魔術師・魔術・黒魔術などの行動は、当時最も容易なことだった。複雑な儀式を要するという記されているものがある一方で、ある民話では、midnight に交差点で悪魔を呼ぶという非常に単純で神聖でなくてもよい方法が信じられていた。信頼できる時計が無く時刻が確認できないような状態では、夜に鏡を覗き込むことさえも、悪魔が中から見返してくるために危険だと考えられていた。 また、midnightは魔術に用いる成分を集める時間ともされ、様々なハーブはmidnightに収穫すると最も効能があると考えられていた。 キリスト教の民話においては、キリストが厩で生まれたこともあり、クリスマスイブとクリスマスの間のmidnightには動物が会話している。 『原子力科学者会報』(Bulletin of the Atomic Scientists) が発表している世界終末時計においては、midnight を核戦争の時刻として象徴的に用いている。 midnightはシンデレラのような民話にも見られるように、任務を完了する期限として用いられる。
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