捜査と日テレのスクープ、問題の否定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 17:40 UTC 版)
「TBSビデオ問題」の記事における「捜査と日テレのスクープ、問題の否定」の解説
1995年(平成7年)3月20日、死亡者13名、負傷者約6,300名余りの被害者を出した地下鉄サリン事件が発生。その後の捜査でオウム真理教による科学テロと判明し、同教団への立ち入り捜査が行われた。オウム真理教の幹部であった早川は、同年4月19日のTBS『ニュース23』取材後に逮捕され、後に坂本弁護士一家殺害事件など計7事件で起訴される。 坂本の事件発生から6年弱となる同年9月5日、後述の早川の供述を知った神奈川県警察が「坂本弁護士へのインタビューの事で、オウム真理教とやり取りがあったらしいので、その経緯を知りたい」とTBSへ捜査協力を求めたことから、TBS側も事態を把握した。その後、9月中に東京地方検察庁(東京地検)もTBS関係者からの事情聴取を行う。だが、その時点ではTBS側はさほど重大な問題だとは認識せず、TBSが社内調査委員会を設置したのは、事情聴取から1カ月後の10月9日になってからだった。 10月12日にTBSは、東京地検の要請に応じて坂本弁護士のインタビュービデオテープを任意提出したが、10月18日に牧太郎と永岡弘行のインタビュービデオテープ押収のため、東京地検から家宅捜索を受けた。この時点でTBS幹部は「牧・永岡両名の同インタビュービデオテープは、使い回しのため既に消去した」と東京地方検察庁に伝えていたが、二転三転するTBS側の証言に、東京地検が強い不信感を抱いていた故の捜索であった。 10月19日、日本テレビ放送網が昼のニュース番組『NNN昼のニュース』で、「早川被告が“(事件の前に)TBSで坂本弁護士のインタビュービデオを見て、その内容を麻原代表に報告した”と供述している」と報道。これにより、TBS社内でも極秘とされてきた坂本弁護士のインタビュービデオをオウム幹部に見せた一連の疑惑が初めて世間に知られる事となった。 この報道を知ったTBSは、即座に日本テレビに「事実無根だ」と抗議するとともに、同日18時からの『ニュースの森』で杉尾秀哉が「TBSが教団の幹部に取材テープを見せたかのようなニュースを(日本テレビは)放送しました。しかし社内の調査では、テープを見せた事実はありません」と伝えた。 しかし日本テレビは、TBSから否定声明や抗議を受けても一貫して報道姿勢を変えず、午後の『ザ・ワイド』や夕方の『NNNニュースプラス1』、深夜の『NNNきょうの出来事』でも早川の同供述を報道した。日本テレビ報道局社会部長(当時)の北澤和基は『NNN昼のニュース』放送後、すぐにTBSの複数の局長から抗議の電話があった事を明かしており、「事実を知っているのでしたら全てを報道すればいいんですけど、事実がよく分からないのだったら本来報道はできないはずですよ。それが筋違いの否定と抗議だけと、これはもう一方的な社告であり報道ではありませんよね。もうTBSさん一体どうなっちゃったんだろう?って本当に思いましたよ。」と述べている。後日、TBSは総務局長名義で日本テレビ宛に抗議文書も送付した。 1996年(平成8年)3月11日、TBSは坂本弁護士のインタビュービデオを見せた事実はなかったという「社内調査概要」を発表。翌3月12日に早川被告の公判において、TBSのプロデューサーおよび早川の供述調書の要旨告知(事件の核心となる早川メモが公表される)。これを受けて、横浜法律事務所はTBSに対して公開質問状を送付。TBSは同日の会見で改めて否定し、19日に横浜法律事務所に、坂本のインタビュービデオを見せた事実はなかったという趣旨の回答書を提出した。 3月19日にTBSの大川常務は、衆議院法務委員会に参考人招致され、社内調査概要に従って、以下の様に証言した。 社内の調査は、予断を排し、厳正、公正に行いました。その結果を隠すことなく発表いたしました。社内調査では、オウムの三人に対応しました二人の社員のほか、当日建物内におりました外部スタッフなどに状況を聞きました。(中略)そうした状況から、我々はテープは見せていないと確信しております。検察庁の捜査結果につきましては私どもはコメントできませんけれども、社内の調査では、見せたという事実は出ていないと確信しておる次第でございます。 — 大川参考人、 衆議院法務委員会
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