小樽温泉入浴拒否問題
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「日本の外国人」の記事における「小樽温泉入浴拒否問題」の解説
1999年(平成11年)9月に、元はアメリカ人で1996年(平成8年)に日本の永住資格を取得し、2000年(平成12年)に日本に帰化した、北海道情報大学講師の有道出人はドイツ人のオラーフ・カルトハウス、アメリカ人のケネス・リー・サザランドと共に、北海道小樽市手宮にある入浴施設「湯の花」を訪れた際、外国人であることを理由に入浴拒否される。「湯の花」は小樽港に入港するロシア人船員の入浴マナーが悪く、石鹸の泡を流さぬまま湯船に体を沈める、女性従業員に性的いたずらを働く、備品を盗むなどの問題が起きていたために、外国人の入浴を拒否するようになったのであるが、有道らが日本に帰化して日本人となった後に訪れても入浴を断られたため、これを人種差別だとして2001年(平成13年)2月に小樽市及び小樽市内の入浴施設に対して600万円の損害賠償と謝罪広告を求め提訴した。 2002年(平成14年)11月、札幌地方裁判所の判決は、外国人の入浴を拒否するのは人種差別に当たる不法行為として「湯の花」に原告3名へ各100万円の賠償支払いを命ずる一方、小樽市については責任を認めなかった。 同月、判決を不服として有道らが小樽市を相手に札幌高等裁判所へ控訴。「湯の花」も有道らを相手取り控訴。 2004年(平成16年)9月、高裁判決は小樽市に対する有道らの控訴、および有道らに対する「湯の花」の控訴を共に棄却。「湯の花」に対する有道らの勝訴が確定。有道らは最高裁判所へ上告。 2005年(平成17年)4月、最高裁は上告を棄却。小樽市に対する有道らの敗訴が確定。
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小樽温泉入浴拒否問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 17:44 UTC 版)
1999年9月に、ドイツ人のオラフ・カルトハウス、アメリカ人のケネス・リー・サザランドと共に小樽市手宮にある入浴施設「湯の花」を訪れた際、外国人であることを理由に入浴拒否される。「湯の花」は、小樽に入港するロシア人船員の入浴マナーが著しく悪く、それを忌避して日本人利用者が減少することで「経営難に陥る危険性が極めて高いと判断し」、そのような事態を回避するため外国人の入浴を拒否するようになっていたのであるが、有道らが日本に帰化して日本人となった後に訪れても入浴を断られたため、これを人種差別だとして2001年2月に「湯の花」の運営会社及び小樽市に対して600万円の損害賠償と謝罪広告を求め提訴した。 「湯の花」側は、自らのグループ企業が経営していた他のサウナ風呂が同様の事例により廃業を余儀なくされたことを踏まえ、外国人入浴拒否は自己の営業を防衛するためにやむを得ない措置であった等と主張した。有道らは、当該入浴拒否は人格権という重大な利益の侵害であって、湯の花側の主張するような経営上の理由によって差別の合理性を根拠づけることはできない等と主張した。 小樽市に対しては、人種差別撤廃条約に基づいて強制力や罰則をもった条例を制定して当該入浴拒否を禁止すべきであったのにその義務を怠った等と主張した。小樽市側は、当該条約においてその具体的方策は締約国の裁量に委ねられており、地方公共団体の不作為を理由に損害賠償しうるものではないと主張した。また市としても入浴拒否を人権侵害の問題として捉えた上で、「湯の花」側への働きかけを含め入浴拒否の解消に向けた様々な措置を行っており、当該条約により求められる施策は十分に取っていた等と主張した。 2002年11月、札幌地方裁判所の判決は、外国人あるいは外国人にみえる者の入浴を一律に拒否するのは人種差別に当たる不法行為として「湯の花」側に原告3名へ各100万円の賠償支払いを命ずる一方、小樽市については責任を認めなかった。 同月、判決を不服として有道らが小樽市を相手に札幌高等裁判所へ控訴。「湯の花」も有道らを相手取り控訴。 2004年9月、高裁判決は小樽市に対する有道らの控訴、および有道らに対する「湯の花」の控訴を共に棄却。「湯の花」に対する有道らの勝訴が確定。有道らは最高裁判所へ上告。 2005年4月、最高裁は上告を棄却。小樽市に対する有道らの敗訴が確定。 この当該事件における有道出人らの交通費はトニー・ラズロ主宰のNGO一緒企画が提供していた。ケネス・リー・サザランドも一緒企画と連絡を取っていた。さらに、有道は入浴施設が外国人の入浴拒否をしていることを事前に知っており、「事実を確認するための作戦である」と明言していた (原文: "THIS IS A MISSION TO CONFIRM FACTS OF THE CASE.") 。これについて判決は、入浴拒否の事実を社会に認知してもらいたいという目的があったとしても、入浴を拒否されない状態を望んでいたことに変わりはなく、現実に入浴を拒否され人種差別による精神的苦痛を受けた以上は、損害が発生していないということはできないとして損害賠償請求を認めた。
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