小樽文学館において
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亀井秀雄は、北大を定年で退職した2000年(平成12年)の6月、市立小樽文学館の館長に就任した。着任後は市民対象の連続文学講座を開く他、ほぼ毎年2泊3日程度の文学散歩の旅行を企画し、旅行先の文学や歴史に関する事前講座を行っている。それらの講座の内容は、自身のホームページに掲載されている。また、文学散歩に同行してガイドを務め、市民との交流を積極的に行っている。 また、小樽文学館で発見した「チャタレイ裁判」に関する新資料を、「戦略的な読み ―〈新資料〉伊藤整による『チャタレイ夫人の恋人』書き込み―」という形で紹介するなど、研究論文も発表している。 その傍ら、韓国の大学に研究用の図書を贈る事業を始めて国際交流の端緒を作り、韓国の文学と文化に関する国際的な集会を開いて国際交流を深めた。また、伊藤整の生誕100年を記念する行事として「よみがえる伊藤整」という国際的な学会を開くなど、小樽文学館の存在感を高める事に貢献した。 他方、文学館長となった後も、UCLAの客員教授として大学院の講義を持ち(2002年)、アメリカ、オーストラリア、韓国の学会で講演や研究発表を行った。それらの原稿は彼のホームページ上で公開されている。 2013年、亀井は13年ぶりに、論文集『主体と文体の歴史』(ひつじ書房)を出版した。本書により、亀井が『感性の変革』の後に着手した「近代詩史の試み」(『文学』に1984年1月号から86年11月号まで、断続的に6回掲載)をまとまった形で読むことができるようになった。亀井自身のHPに載せていた、「文学史の語り方」(2006年、韓国・高麗大学校)や、「三浦つとむの拡がり」(2004年、〈言語・認識・表現〉研究会)、「明治期『女流作家』の文体と空間」(1995年、ワシントン大学(ワシントン州))などの学会や研究会の講演記録も収録されている。なお、その他の主な所収論文として、「時間の物語」(岩波書店『季刊文学』第8巻第2号、1997年)、「『坊っちゃん』 ―「おれ」の位置・「おれ」への欲望」(学燈社『国文学』第37巻第5号、1992年)などがある。
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