実用化への動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 08:54 UTC 版)
田中角栄の『日本列島改造論』の影響で、日本各地に新幹線網の整備が叫ばれるようになると、整備新幹線とは別に第二東海道新幹線として超電導リニアを導入しようという話が先行していた。その後のオイルショックや国鉄分割民営化を経て、中央新幹線での超電導リニア導入が具体的に語られるようになった。中央新幹線は元々新幹線方式での整備計画であったが、これと区別するために中央リニア新幹線と呼ばれるようになった。一方で、地方自治体でも超電導リニア導入に積極的アピールをする所が増えた。 1980年代後半に実用化試験のための新規実験線建設では自治体が名乗りをあげて誘致活動が活発化した。中央リニア新幹線で東京まで約20分で移動可能となる山梨県を始め、札幌と新千歳空港の間への導入を求めた北海道、日本海新幹線用に長岡と上越間の提案をした新潟県、引き続き日向と宮崎での拡張を訴えた宮崎県の5か所が立候補した。結局は、中央リニア新幹線のルートを持ち有力政治家の金丸信がいた山梨に誘致されることとなった。 長年に及ぶ超電導リニアの研究・開発では資金獲得を目的として、マスコミの話題になりやすい最高速度樹立を目的とした実験走行をわざと予算案作成の時期である12月に行うなどの工夫をしていたという。一方、実用路線である中央リニア新幹線については暫く進展を見せていなかったが、21世紀に入りようやく実現に向けて動き出している。 中央リニア新幹線のルートは日本有数の山岳地帯を通るためかなりの部分がトンネル区間となる。2000年(平成12年)には事実上、中央リニア新幹線建設のためともいわれる大深度地下の公共利用使用に関する特別措置法が成立(翌年施行)する。また、山梨実験線も当初42.8 kmが予定されていたが、そのうちの先行区間約18.4 kmを暫定建設し使用している。残り区間については2006年(平成18年)4月にJR東海が約3,550億円を負担して整備すると発表した。 2007年(平成19年)4月26日、JR東海の松本正之社長は、2025年(令和7年)を目標に中央リニア新幹線構想のうち首都圏 - 中京圏間を先行して営業運転を開始することを表明し、12月25日にはJR東海取締役会にて中央リニア新幹線の建設を自己負担で進める方針を決定した。路線長を290 kmと想定した場合の建設費用は5兆1千億円であり、「安定配当を維持しながら自社で投資費用をまかなえる」としている。
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