実用化に向けた技術課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/03 06:52 UTC 版)
運輸技術審議会諮問第18号に対する答申「チャレンジシップ21計画」では、超電導電磁推進船実用化の主な課題として推進効率と小型軽量化の2項目がリストアップされている 推進効率向上(磁場の強化) 岩田らによる直流内部磁場方式の仮想設計では、海水管磁束密度15Tでプロペラを超える推進効率になるとの結果が得られている。推進効率向上のためにはヤマト1の設計値4Tを約4倍以上に高めることが望ましく、現状の磁束密度と寸法、重さのトレードオフの関係を変える技術開発が必要である。 推進装置の小型軽量化 磁場強化を行うと超電導コイルだけでなく、クライオスタットも大きく、重くなる。また、現在の強磁性材料よりも軽い磁気シールドやコイル配置設計などの技術開発も必要である。推進装置の寸法と重量のため、ヤマト1は排水量185トンでありながら、定員は10人と少ない。 この他、以下の課題がある。 起動時間の短縮 常温から4Kまで超電導コイルを冷却するためには各部の熱膨張の違いを緩和するため時間をかけなければならず約10日間以上要する。航行中に不具合が発生した場合、推進装置の再起動が遅いことは運用範囲を狭くすることになる。 ヘリウム(He)冷却 Heは高価であるため使用量を減らすか、窒素冷却で動作する超電導コイルの開発が求められる。 塩素発生の抑制 海水電流により電極で次亜塩素酸ソーダが発生する。ヤマト1では海水管出口から約1m離れた場所で水道水程度であるものの、出力向上により発生量は増える。この抑制に、電極板表面の材料の工夫等や、交流磁場方式推進機の開発が必要である。
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