天譴論の広まりと政争の決着とは? わかりやすく解説

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天譴論の広まりと政争の決着

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 15:30 UTC 版)

天明の打ちこわし」の記事における「天譴論の広まりと政争の決着」の解説

天明7年5月江戸打ちこわしでは、打ちこわし以外の多く人々が、自らの利益のために米の買い占め売り惜しみをした米屋民衆厳し困窮状態に追い込まれながら何ら有効な対策取ろうとしなかった町奉行、そしてこのような事態招いた田沼意次政治対す厳しい批判目を向け逆に打ちこわしに対して同情的であったこのような情勢下、先に述べたように江戸町奉行打ちこわし時に拘束した多く人々について、米屋との喧嘩との名目罪に問うことなく釈放した。これは奉行所としても生活苦追い込まれ上で打ちこわしという行為社会的に正当性があると認めざるを得ない面があり、広範囲処罰放棄せざるを得なかったためと考えられる。 そして将軍御膝元江戸で町奉行鎮圧不可となった激し打ちこわし発生し、しかも江戸打ちこわし同時期に全国主要都市でも同時多発的に打ちこわし発生した事実は、天明の大飢饉浅間山大噴火関東大洪水とともに田沼意次によって主導されてきた幕政仁政行おうとしない悪政であるため、天が民の手借りて天罰として打ちこわし起こしたとの見方広まった。この天命による打ちこわし発生論は田沼政治正統性を完全に喪失したものと受け止められ実際打ちこわし時に見られ田沼批判とともに田沼派の没落決定付ける作用もたらした打ちこわし発生直前天明7年4月15日1787年5月31日)には徳川家斉将軍宣下が行われ、田沼派と譜代派の政争一時政治休戦の状態となっていた。そして将軍宣下後、一橋治済らは松平定信擁立運動再開していた。天明7年5月大奥老女大崎一橋治済邸を訪れた際、治済は大崎に対して御用御側取次横田こそが田沼派の中心人物であるとし、横田失脚運動要請した。しかし横田御用御側取次代表格として将軍側近筆頭であり、天明7年5月1日1787年6月16日)には3000石を加増されて9500石となったばかりで、「飛ぶ鳥を落とすほど」と形容されたほどの権勢誇っており、大奥老女大崎としても手の打ちようがないと答えざるを得なかった。 しかし天明7年5月全国各地打ちこわし発生し江戸で町奉行の手では鎮圧不可となった極めて激し打ちこわし勃発するという異常事態の中、事態急展開する。まず天明7年5月24日1787年7月9日)、御用御側取次本郷泰行が解任され続いて天明7年5月28日1787年7月13日)には同じく御用御側取次をしていた田沼意次の甥である田沼意致病気により免職となり、そして天明7年5月29日1787年7月14日)、将軍家斉に江戸打ちこわし実情正しく伝えなかったとして問題横田御用御側取次から解任された。結局4名いた御用御側取次のうち残ったのは譜代派の小笠原信喜のみであり、全国席巻した打ちこわしその中でも特に激しかった江戸打ちこわし背景攻勢強めた譜代に対して最強牙城であった将軍側近役人から田沼派は全て排除され最終的な敗北余儀なくされることになる。そして天明7年6月19日1787年8月2日)、松平定信老中就任することになった杉田玄白譜代派と田沼派との暗闘の末、最終的に打ちこわしによって松平定信政権成立した経緯について、「もし今回騒動なければ御政道が改まることはなかっただろうと言う人もいる」と書いており、松平定信政権民衆蜂起圧力によって田沼派が排除されたことによって成立することが可能となった政権であると評価することができる。江戸時代通して民衆蜂起政権交代直接原因となったケース天明7年政権交代以外には無く松平定信筆頭とする新たな幕閣は、これまでの政権担当者よりも遥かに深刻な危機感持って都市政策農村政策などの社会政策取り組んでいくことになり、いわゆる寛政の改革開始されることになる。

※この「天譴論の広まりと政争の決着」の解説は、「天明の打ちこわし」の解説の一部です。
「天譴論の広まりと政争の決着」を含む「天明の打ちこわし」の記事については、「天明の打ちこわし」の概要を参照ください。

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