大会期間中のトラブル・問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 21:14 UTC 版)
「2018年平昌オリンピック」の記事における「大会期間中のトラブル・問題点」の解説
今大会では大会序盤から複数の競技で中止や延期、及び、悪天候の中での競技の開催が相次いだ。大会2日目のスキージャンプ男子の個人ノーマルヒル決勝では、氷点下10℃を下回る極寒の中、秒速5メートル以上の強烈な風が吹き、体感気温では氷点下20℃近くの過酷な環境下での競技の開催になった(2018年2月12日付のスポーツ報知の記事曰く、記者が「寒さで書いた文字がミミズのように震えるほどの寒さであった」という。。競技の開催時間も、開始時間が21時35分、これに加えて強風による度重なる中断により、終了時間は日付をまたいだ0時19分になっており(当初の終了予定時間よりも1時間程度遅かった。)、表彰式のときには観客がほとんどいなくなっていたという。このことについて、冬季オリンピックにジャンプ競技で8回目の出場になる葛西紀明が「(寒さは)もう信じられないぐらい。風の音がすっごいんですよ。気持ちが怯むぐらい。ブワーって。W杯でもほぼない条件。『こんなの中止でしょう』ってちょっと心の隅で文句いいながら寒さに耐えてましたよ。」と述べている。 大会第4日に開催されたスノーボードの女子スロープスタイルでは、前日に開催予定であった予選が強風により中止になったことで、決勝の一発勝負で決める状況になった(その上、決勝も本来は3回の試技ができることになっていたが、「雪煙が舞うほどの強風」の影響で競技開始が1時間以上も遅れた上に、試技も2回に縮小された。また、予選に向けての練習で転倒し大けがを負って棄権を余儀なくされた選手もいた)。決勝では、出場した25選手の全員が、2回の試技のいずれか1本以上で転倒してしまう過酷な状況になった。このことについて、出場した選手からは、「正直、この風でやるのはかなり無理があるというコンディションがあります。」(藤森由香)、「たくさん練習してきたんですけど、その練習が全く意味のないような気がして辛かったです。」(鬼塚雅)、「フェアな競技だったとは思わないわ。強行した主催者には少し失望しているの。私の考えでは、女子スノーボードにとって良いショーではなかったと思うわ。」(アンナ・ガッサー)などとして、不満や違和感を訴える選手が続出することとなってしまった。 アルペンスキー競技についても、大会第3日に予定されていた男子滑降や大会第4日に予定されていた女子大回転が、強風などを理由に相次いで開催日程の延期を余儀なくされた。 競技日程の延期や、悪天候下での競技の開催が相次いだ背景として開催地である平昌(及びその周辺地域)が、標高800メートル超の山岳地帯で周囲の山々には風力発電用の巨大な風車が回るような風の強い地域であることが挙げられている。また、ジャンプ台は「台自体がアルペンシア・リゾートを見渡す展望台を兼ねている」ため、小高い山の頂上にタワーを建てて、助走路を設けた構造であったことから、「こんなところに、よくつくったな」と懸念の声があったという。 これに加えて、アメリカやヨーロッパの巨額(といわれる)放映権料の影響が見え隠れする変則的な開催時間も悪天候下での競技の開催(の強行)に影響したといわれる。実際、スキーのジャンプ競技がヨーロッパの日中時間帯となる夜の開催となり、フィギュアスケート競技はアメリカ時間の夕方から夜にあたる午前の開催(一例として、男子フリーの競技開始時間は午前10時)になった。。そのため、日本のフィギュアスケートの選手は、競技開始時間が午前になる「朝型対策」として「体内時計を数時間ほど前倒し」しながら午前4時を目安に朝食をとる生活になったという。このようなことから今回の平昌オリンピックの運営などについて、「『アスリート・ファースト』なのか疑問を感じざるを得ない」「選手ファーストは無視されていた」「より選手を、観客を追い込むことになる」「4年間必死に重ねた努力の集大成が気まぐれな風に左右され過ぎる」「五輪の真の目的を忘れないでほしい。だが、今の五輪は札束を生み出し、運営者に富をもたらすために存在している」などという批判の声が少なからず起こる結果となった。
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