国立競技場解体工事
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国立競技場は解体されることとなり、日本スポーツ振興センター (JSC) は南北2工区に分けて入札をおこなった。2014年5月第1回目の入札では、入札に参加出来る資格が建設業者に限られ、北工区1社、南工区3社が入札に参加した。第1回目の入札は2014年5月29日に開札されたが、すべての入札価格が予定価格(北工区20億3686万2000円・南工区18億7963万円)を上回り不調に終わった。2014年7月第2回目の入札で日本スポーツ振興センター(JSC)は、入札に参加できる資格を建設会社に加え、文部科学省の最高基準を満たした解体工事業の資格を有するものにも門戸を広げた。第2回目の入札は2014年7月17日に行われ、当日に開札され、南北両工区とも株式会社フジムラは最低価格で応札した。しかし、JSCは入札の結果を「保留」とし、その後「特別重点調査」を経て株式会社フジムラの入札結果を「無効」とした。南北両工区とも落札したのは、北工区2番札、南工区3番札で応札した関東建設興業株式会社であった。(2回目入札の予定価格は北工区 24億9239万4000円(1回目より4億5553万2000円上昇)・南工区23億1415万1000円(1回目より4億3452万1000円上昇)であり、1回目の入札が不調であったにも関わらず、2回目において予定価格が上昇している。) この結果に対して、当時、社主であった藤村一人が、日本スポーツ振興センター(JSC)に猛抗議に出向いたところ、新国立競技場設置本部施設部長ら5名が7時間にわたり対応した。藤村は落札できるよう書類不備の修正を申し出たが、JSCは聞き入れなかった。その際、JSC管理部調達管財課課長の中塚俊和から官製談合の疑いがあるとの発言があった。その後、JSCにより公正取引委員会に報告がなされ、更にJSC内で調査部会を設置して調査を開始した。(調査部会はJSCの理事、JSCの顧問弁護士・公認会計士で構成されており、明らかに「身内の調査」であった。)これに対して、株式会社フジムラは調査の協力に応じた。その後8月19日にJSC調査部会より伝えられた結論は「官製談合はなかった」であった。 この結果を受け、藤村は弁護団を結成(代理人弁護士 石田義俊、石田深恵、山崎克之、金澤 優)、8月28日、内閣府政府調達苦情検討委員会に苦情処理申立書を提出、9月10日、申立書が受理された(検委事第14号)。審議において、藤村は、落札した埼玉県の業者(関東建設興業)より、入札前には知り得ないスタンド解体後の残土処分の詳細情報、入札に参加する東京都内の業者名及び東京に本拠地を持たない地方業者名を事前に知らされた会話の内容を示した。 9月30日、内閣府政府調達苦情検討委員会(加毛修委員長/小泉淑子委員長代理/有川博委員・磯部力委員・大橋真由美委員)は審議の結果、日本スポーツ振興センター(JSC)が入札書および工事費内訳書の提出期限前に工事費内訳書を順次開封していたこと、ならびに入札者が提出した工事費内訳書の開封と並行して予定価格の決定に係る関係調達機関内部の手続を行っていたことは、調達過程の公正性および公平性ならびに入札書の秘密性を損なうものとして、契約を破棄し、新たに調達手続を行うよう提案した。藤村の行動により、第2回目入札の契約(南北2工区)は破棄された。一連の経緯は第187回臨時国会 参議院予算委員会において取り上げられ、民主党 蓮舫議員により、下村博文文部科学大臣・日本スポーツ振興センター(JSC)河野一郎理事長に対し、談合疑惑の追及がなされた。蓮舫議員から指摘された談合疑惑に関する調査要請に対し下村博文文部科学大臣は「談合が疑われたので警察庁に通告した」と答弁した。また、同議員から東京オリンピック・パラリンピック用の談合防止のための第三者管理機関創設の考えを問われた安倍晋三内閣総理大臣は「今回は警察に調査を依頼している」と述べた。下村博文文部科学大臣、安倍晋三内閣総理大臣の答弁を受け、警視庁捜査2課が調査に動くという、異常な事態に発展した。 第3回目の入札は2014年12月2日に開札され、北工区は株式会社フジムラが最低価格を提示したが、今回の入札も保留となった。12月12日、藤村は弁護団を伴い「特別重点調査」に臨んだ。結果、12月19日、日本スポーツ振興センター (JSC)より、契約の内容に適合した履行が行われると認められたため、国立競技場解体工事(北工区)を16億7292万円で落札した。
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