国産化と高速化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 05:27 UTC 版)
「中華人民共和国の高速鉄道」の記事における「国産化と高速化」の解説
中国国鉄にとって、外国技術の導入によって生み出された高速鉄道の国産化とさらなる技術革新は重要である。 中国国外の企業からの技術移転によって、中国の工場では鉄道の部品製造が可能になった。三菱電機はMT205型モーターとATM9型変圧器を中国南車集団の子会社の株洲南車時代電気に、日立製作所はYJ92A型モーター、アルストムはYJ87A型モーターを中国北車集団の子会社の永済電機に、シーメンスはTSG型パンタグラフを中国南車集団の子会社の株洲電力機車にそれぞれ技術提供した。現地生産のCRH型車両で使われる部品はごく一部を除いて地元企業から調達されている。 2005年の6月から9月には、鉄道部は高速鉄道新線のほとんどが350km/hに対応して設計されていることから、350km/h運転が可能な車両の入札を受け付けた。シーメンスと唐山軌道客車によるCRH3C型と青島四方機車車輛によるCRH2C型が参加した。なお、最高速度が350km/hとされた根拠は、ベースとなった車両が日本やドイツなどでの試験走行で400km/h台を記録したことに由来する。 川崎重工業とともにCRH2A型を60編成受注し、2年間製造した青島四方機車車輛は、独自で製造する技術を得た。これにより青島四方機車車輛と川崎重工業との間の協力関係は終了し、2008年からのCRH2B型、CRH2C型とCRH2E型のCRH2型の車両は青島四方機車車輛が独自に設計、製造したものである。青島四方機車車輛の親会社の中国南車集団の社長は、「中国南車集団は高速鉄道車両の開発に大胆に取り組み、設計と製造の能力は進歩し続けている。2007年12月には生産ラインが完成し、350km/hで走るCRH型車両の製造を独自に行う」と述べた。 北京・上海間は改良が加えられ、最高速度200km/hで所要時間は10時間であるが、鉄道部は京滬線の輸送力のさらなる増強とより快適なサービスの提供のために、2007年10月に16両編成のCRH1B型を10編成、CRH2B型を20編成(以上2つは座席車)、CRH1E型とCRH2E型を20編成ずつ(後者2つは寝台車)の合計70編成を青島四方機車車輛と青島四方ボンバルディア鉄路運輸設備に発注した。 ボンバルディアが唯一、車両全体を製造する中国企業との合弁事業をしたが、この成功の重要な要因の1つは技術支援であった。青島四方ボンバルディア鉄路運輸設備社は1998年に設立され、中国の国営企業の外国技術の導入による刷新の好例となった。同社の代表はボンバルディアの中国での理念を「会社が持つすべてを合弁事業に注ぎ、中国市場で需要があるものは要求なしで提供すること」だと表現した。試作品が中国国外から輸入された他のCRH型車両と異なり、CRH1型は全て青島で生産されている。 世界最速となる380km/hで運転される予定であった京滬高速鉄道の建設は2008年4月18日に始まった。同じ2008年、科学技術部と鉄道部は「中国の独自の高速鉄道技術の進歩に関する共同計画」に合意し、鉄道部はCRH380A型 (中国南車集団、別称CRH2-350)、CRH380B型 (中国北車集団とシーメンス、別称CRH3-350)、CRH380D型 (ボンバルディアと青島四方ボンバルディア鉄路運輸設備、別称CRH1-350)の3種類の380km/h運転可能な次世代CRH型車両の開発を決め、合計400編成を発注した。2010年10月26日に開業し、世界最速の350km/hで営業運転した(現在は300km/hにされている)滬杭旅客専用線にCRH380A型は導入された。これは完全な国産の車両では初めての高速での営業運転である。 また、前述したように2004年に決定された中長期鉄道網計画(2020年までの高速鉄道路線整備計画)では、経済発展による輸送需要増に対処できなくなる懸念から、鉄道網をより大規模にするよう2008年に改訂された。2010年10月19日、鉄道部は平均時速が500km/hに達する新しい「超高速」鉄道の研究開発を始めたと発表した。
※この「国産化と高速化」の解説は、「中華人民共和国の高速鉄道」の解説の一部です。
「国産化と高速化」を含む「中華人民共和国の高速鉄道」の記事については、「中華人民共和国の高速鉄道」の概要を参照ください。
- 国産化と高速化のページへのリンク