四字熟語の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 22:54 UTC 版)
本来「四字熟語」といえば、漢字4字が並ぶ語の全てを指すものとして差し支えなかった。狭い意味での「四字熟語」という用語が定着したのは、元・ジャーナリストの真藤健志郎の著、『「四字熟語」の辞典-活用引用自由自在』(日本実業出版社、1985年(昭和60年))以降であるという。実業家の稲葉通雄は同書が書店で平積みされているのを見て「四字の活字から成る『読む辞典』が静かに売れている」と評した。稲葉によると、当時の書店には故事熟語辞典、ことわざ辞典、蘊蓄字典などが並んでいたが、「四字熟語辞典」と称する書籍はこれ以外に見当たらなかったという。もちろんこの著以前でも「四字熟語」という語の用例は見つけることができる が、これが特に決まった呼び方ではなく、人それぞれに「故事成語」や「故事熟語」あるいは単に「成語」や「成句」などと呼んでいたらしい。真藤は著書を「四字熟語」とカギカッコ付きで表記し、これが暫定的に命名した用語であることを強調していた。しかし、現在[いつ?]ではこの用語はすっかり定着し、四字熟語を紹介する本が数多く出版されている。 この現状を中国文学者の高島俊男は自身のエッセイの中で次のように表現している。 この命名がうまかったのか、ネコもシャクシも、岩波サンも三省堂サンもみんなまねをして、いまや『四字熟語ナニナニ』の洪水だ。〔中略〕「四字熟語」というコトバは日本語として天下公認、という扱いである。 四字熟語という用語がその概念を含め、一般に流布していった明確な要因は定かではない。パズルファンが四字熟語に注目し、それがブームになり定着したという見解 や、何かの拍子に中学入試に四字熟語が出題されはじめ、受験業界において一定の需要ができたからという見解 もある。いずれにせよ、四字熟語に対する需要が四字熟語に関する本を産み、それによって四字熟語に興味をもつ人々がますます増え、雪だるま式に四字熟語が普及していったのだと高島は推測している。また、高島は、1990年代以降、特定の著名人が好んで四字熟語を用いていることも、その後、四字熟語が注目を集める一因となったのだろうと指摘している。1998年(平成10年)の時点で毎日新聞では「最近、なぜか関心が高まっている四字熟語」と評されている。 四字熟語という用語を国語辞典として収録するようになった事例として『集英社国語辞典(初版)』(集英社 1993年(平成5年))、『大辞林(第二版)』(三省堂 1995年(平成7年))が挙げられる。日本語として定着した用語のみを収録の方針とする『広辞苑』では、第五版(1998年(平成10年))まで四字熟語の項目はなかったが、第六版(2008年(平成20年))には「漢字四字で構成される成句や熟語」という定義で項目が新設されている。
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