原作者の死後以降からマテル買収まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 23:34 UTC 版)
「きかんしゃトーマス」の記事における「原作者の死後以降からマテル買収まで」の解説
第3シリーズ及び第4シリーズの件もあって原作者の意向を重く受け止めたブリットは、第5シリーズの制作には鉄道関係者をアドバイザーに招き、実在の鉄道で実際に起こったことなどを脚本に反映する制作体制を執った。しかし、実際にはありえない突飛な演出やシナリオが極力抑えられていた第4シリーズ以前とは異なり、第5シリーズでは爆発や大掛かりな事故シーンなどスペクタクルシーンが増え、従来のシリーズとは異なる様相を呈した。第5シリーズ終了後の2000年には初の長編、劇場版である『きかんしゃトーマス 魔法の線路』が公開されるも商業成績は大失敗に終わり、次の第6シリーズ製作終了後にブリットは責任を取る形で制作から離れることとなった。その後2002年にクレイアニメのピングーなどの権利を保有していたイギリスのヒット・エンターテインメント社に本作の全資産を売却し、ヒット社の新たな制作体制の中で作品の鉄道考証は次第に薄くなっていく(後述)。 本作の原作『汽車のえほん』は元来から子供向け作品でありながら、執筆当時の英国の鉄道情勢なども風刺として描くと同時に、幼児には理解が難しい鉄道用語なども含んでいた。それらの要素が制作体制変更前はストーリー構成上必然的に原作の特徴の1つとしてシナリオ内に継承され続けたが、制作体制変更後となる2004年放送の第8シリーズ以降は、長期シリーズとなり世間への影響力がかつてよりも遥かに増大していることから幼児向け番組という立ち位置を明確にし、内容を就学前教育に特化した結果、従来以上に教養的なストーリーが採用されシナリオから鉄道考証は止めどなく剥離されてしまう。また、この頃から国際展開も積極的に行われるようになり、その影響でレギュラーメンバーに女性機関車のエミリーを追加したり、ソドー島の市長など一部の人間キャラクターを黒人にするなど、制作の中でポリティカル・コレクトネスがより意識されるようになった。また、番組開始当初から使用されていたテーマソングを変更するなど、イメージの刷新も行われた。後にこの第8シリーズ以降の作品と過去のオリジナルシリーズを区分する目的として、第1シリーズから第7シリーズまでをクラシックシリーズと呼称されるようになり、特に日本ではシリーズ別ではなく一括りにクラシックシリーズとしてDVDが数巻発売されている。 制作費用(模型や撮影ジオラマの維持費)や模型による表現方法の限界などの理由で、2008年公開の長編3作目「トーマスをすくえ!! ミステリーマウンテン」をもって完全な鉄道模型での製作が終了し、同年、3DCGモデリングされた機関車キャラクターの顔や人間キャラクターを、模型で撮影された映像にマッチムーブなどの技術でデジタル合成して製作された第12シリーズが公開された。このシリーズからカナダのCG制作会社ナイトロジェン・スタジオが製作に参加し、2009年公開の長編4作目「きかんしゃトーマス 伝説の英雄」からは同社によるフルCGアニメーション製作となる。このころから国際展開がさらに意識されるようになり、日本のマスターライセンス保有元であるソニー・クリエイティブプロダクツの要望により登場したヒロ(日本出身)やビクター(キューバ出身)などイギリス以外の外国出身車両が登場するようになった。この傾向は現在も続いており、特に後の長編12作では11台もの外国出身車両が登場している。
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