原作者の意図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 21:47 UTC 版)
近年では、『ブリトン人の歴史』を紹介または解説するときに、「古編者が手当たり次第の資料を積み上げて作成したものだ」と述べるのが慣例のようになっている。この文句は「ネンニウス序文」のL系統本で「ネンニウスの弁明文(apologia)」と題される文章からとられている(Giles 1848編訳にも掲載)。以下意訳する。 聖エルウォドゥグス(羅: Elvodugus)の弟子である私、ネンニウスは、ブリトンの国が愚鈍さの故投げ出していた、抜粋文を書き留める試みを企てました。ブリテン島の学者は学識を欠き、何の記録も本に残しておりません。そのため私は、ローマ人の年代記からも、神聖なる教父たちの史書からも、ゲール人やサクソン人の記録からも、古老の伝承からも、見つけた全てのものを積み上げました。 — 『ブリトン人の歴史』「ネンニウス序文(弁明文)」 考古学者レズリー・アルコック(英語版) (1971年)は、この序文を引用して作品を「積み上げ(heaped together)」と称して説明したが、この時期を境に、この表現を使う例が増えたようである。しかしアルコックよりも古い用例も散見される。 このほかにも編纂者の意図にあったのは、中世アイルランドではすでに作成されていた偽史『アイルランド来寇の書』等にならい、史料と「同期をとった(シンクロナイズした)」史書仕立ての文献を、伝説をもとに作り出すことであった[要出典]。
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