函館本線特急列車出火事故
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「日本の鉄道事故 (2000年以降)」の記事における「函館本線特急列車出火事故」の解説
★2013年(平成25年)7月6日 15時45分頃(車両障害) JR北海道で相次いだ一連の事故と不祥事の内の一件。函館本線鷲ノ巣駅 - 山崎駅間を走行中の札幌発函館行きの特急「北斗」14号(キハ183系 8両編成)のうち、キハ182-2557 の床下のエンジン付近から出火、山崎駅構内で非常停止した。火はすぐに消し止められ、車外に避難した乗客約200人にけがはなかったが、出火元の4号車の側面は黒く焼け焦げた。出火したディーゼルエンジンは、DML30系であった。同型のエンジンに関しては、2012年9月18日に千歳線新札幌駅で、同じく特急「北斗」のエンジンから冷却水と潤滑油が漏れるトラブルがあったほか、2013年4月8日にも函館本線八雲駅に停車中の特急「北斗」のエンジンから出火するトラブルが発生したばかりであった。これらのトラブルについては、スライジングブロック(スライディングブロック)と呼ばれるエンジンの燃料噴射ポンプ内の部品が破損したことが原因とみられており、JR北海道は同型エンジンのスライジングブロックを4月に交換したばかりであったが、約3か月という短期間で再び事故が発生した。 国土交通省の運輸安全委員会は、事故につながるおそれがある重大インシデントに当たると判断、車両の保全命令を出し、8日に鉄道事故調査官2名をJR北海道苗穂運転所に派遣した。また、同日に国土交通省北海道運輸局は、局長名での文書指導を行った。JR北海道に対する局長名での文書指導は、2011年5月の石勝線特急列車脱線火災事故以来となる。11日には、国土交通副大臣の鶴保庸介がJR北海道社長の野島誠を国土交通省に呼んで注意喚起を行い、翌12日には国土交通大臣太田昭宏が安全確保の徹底を求めたが、直後の15日にもねじの緩みが原因で 千歳線を走行中の特急列車「スーパーおおぞら」3号の配電盤から出火するトラブルが発生、22日にはナットの緩みが原因で根室本線を走行中の「スーパーとかち」1号のディーゼルエンジンの内部が破損し、発煙や油漏れが起きた。このため、国土交通省がJR北海道に対し、車両整備についてJR東日本に技術的協力を要請するよう指示をする異例の事態となり、JR北海道はJR東日本に車両保守について協力を求めることとなった。また、JR北海道は、車両のメンテナンスに時間的余裕を持たせるため、これまでの方針を転換し、特急の減速や減便を行うダイヤ変更を11月に行った。鉄道事業者が、安全対策のために減速・減便のダイヤ変更を行うのは、極めて異例のことである。 運輸安全委員会の調査では、今回も4月のトラブルと同様、スライジングブロックとエンジン内のピストンの一部が破損していた。また、今回の事故では、シリンダーブロックに直径約10センチメートルもの穴が開いており、非常停止した地点の2キロメートル手前からエンジンの潤滑油が漏れた跡が残っていた。JR北海道は、DML30系エンジンを搭載する車両36両について、事故原因が判明するまで運行を取り止めることとなり、北海道運輸局も事故原因の究明と再発防止策が確立されるまで運行禁止する措置を執った。この結果、繁忙期にもかかわらず札幌・函館間の特急の本数は約3分の2となり、利用者に大きな影響が出た。 なお、DML30系エンジンを搭載していた気動車のうち、JR九州のキハ66・67系およびキハ71形は本事故以前に全車両とも別形式のエンジンへ換装され、JR西日本・四国に承継されたキハ181系は2011年までに全車引退し、JR東海・西日本・四国・九州に承継されたキハ65形は2010年までに全車運用離脱(形式消滅は2013年)したため、本事故時点でDML30系エンジンを使用しているのはJR北海道のみとなっていた。
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