処分と実態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 14:37 UTC 版)
「日本ボクシングコミッション事件」の記事における「処分と実態」の解説
亀田ジムの会長およびマネージャーは、この混乱でボクシングの公平性が疑われ、JBCの信用が傷つけられたとして、2014年2月にJBCからライセンスの更新申請を却下されたことで資格を失い、同ジムの所属選手である亀田三兄弟は国内で試合をできない状況に置かれた。一時的に東日本ボクシング協会で「協会預かり」とすればこれを解消することができたが、同協会会長のE1は救済しない意向を示し、同協会は2014年4月21日、亀田ジム会長・吉井慎次が実質的にジム運営に携わっていなかったこと、国外で行った試合を報告しなかったことなどを理由に、吉井の除名を全会一致で決めた。E1の前任・原田政彦の在職期間に提起された除名処分無効確認請求事件では、cジム会長が協会からの除名処分に先立ってJBCからプロモーターライセンスの無期限停止処分を受けたことで協会の会則が定める登録要件を欠いていたが、除名後にはcジムが別の会長を立てたことで協会は改めて会員となることを承認していたため、除名処分によってcジムの営業には支障が生じていなかったことなどから、東京地裁は権利能力なき社団である協会の下した除名処分に民法第680条を類推適用し、実体的、手続的違法はないとして請求を棄却している。 弁護士ドットコムでは弁護士の辻口信良が、JBCがルールミーティングの際、亀田が負けた場合の王座の取り扱いについて確認を怠ったのが事実であれば「根本的には、試合管理等に関するJBCの監督・ガバナンスに問題があるといわざるをえません」と見解を述べ、『週刊朝日』2013年12月20日号は「試合管理はJBCの責任だ。タイトル認定団体IBFと世界王座の扱いで判断が正反対になる事態は、JBCの確認不足と言われても仕方がない。」として、関係者の「今回の騒動もJBCの介入不足に尽きますよ。組織が混乱してる。しっかりしろ、と言いたいですね。」とのコメントを掲載。協会関係者も「JBCの亀田ジムへの責任転嫁」と指摘している。 JBCは亀田陣営が勝敗に関係なく王座を防衛することを事前に知りながら報告や公表をしなかったとして、これを問題視したが、インターネット上でも公開されているIBFルールは挑戦者が試合前日の計量で規定の体重を超過すれば試合結果を問わず王者が防衛を達成すると定めている。事務局長のB11が事前のルールミーティングに出席し、このルールを記載した書類を含む合意文書にサインしている以上は亀田陣営に報告の必要性はなく、公表や説明をすべきなのはむしろ、試合の管理に責任を負う立場にあるJBCである。しかしB11がスペイン語も英語も解さないにもかかわらず、ルールミーティングの場ではJBCに対するルールの通訳もなかった。JBCは「ルールミーティングで『亀田大毅選手がソリス選手に敗れた場合はIBFの王座は空位になる』と決定され」たとし、これをB11が「当財団を代表して承認したルール」であると主張している。これらのことから「現代ビジネス」記者の藤岡は、JBCがIBFルールの当該条項を把握しておらず誤認していた可能性を指摘し、JBCの亀田兄弟への対応について「JBCの試合管理上の過失が強く疑われる騒動の責任を、亀田ジムに負わせ、亀田3兄弟の選手生命に重大な影響を与えるような処断」として、この問題はJBCの執行体制の混乱の象徴だとの認識を示している。亀田興毅は2015年10月16日、シカゴで河野公平の持つWBA世界スーパーフライ級王座に挑んで敗れ、この試合直後に引退を発表した。 JBCとの間では亀田ジムの会長およびマネージャーとの訴訟が係属中であり、さらに2016年1月14日には亀田興毅らと亀田プロモーションが、JBCと理事10名に対し約6億6000万円の損害賠償を請求する訴訟を起こしている(冒頭の相関図を参照)。2016年7月には、共同通信の編集委員でJBCの理事を務める津江章二が陳述書を提出し、JBCの不手際を告発しているにもかかわらず、兄弟唯一の現役選手となった亀田和毅の早期国内復帰を期した和解交渉においてもJBC側は態度を硬化させていることが伝えられている。
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