公共投資の重視
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 08:05 UTC 版)
「市民プラットフォーム」の記事における「公共投資の重視」の解説
民間においては積極的に中小企業が活発に活動できるようになる経済環境の構築を目指しており、ドナルド・トゥスク党首・首相は2011年の総選挙においてその路線を明確にしている。ポーランドにおけるその最大の障害は旧体制から続いている官僚主義であるとの認識にもとづき、会社設立のワンストップ窓口サービス、事業を進める上で遭遇する複雑な許認可制度の抜本的見直し、ビジネスの活発化により増加が見込まれる法的係争をより速く処理するための司法改革など、政府(行政)・党(立法)が協力して官僚主義を打破するための具体的な政策を打ち出し始めている。一方で、自由化から生じる財やサービスの供給力増加には有効需要の低下が予想されるため、その対策として通信、道路、空港、港湾、電気、水道、ガス、鉄道、都市交通など古くなった全国インフラや公共施設の補修や新規建設を大規模に行っている。 国有企業の民有化は闇雲に進めず、長期計画を策定して選択的かつできるだけ慎重に行う(このため、ポーランドの急進的な民有化・自由化・規制緩和・経済開放を求める経済専門家、国際的報道機関、国際的産業界、国際的金融界などから激しく非難されている)。同じく、技術革新(イノベーション)で新市場が創出されることによる有効需要の増大を目指して大量の予算が教育事業、現在の時点ではとりわけ職業教育に振り分けられている。同党はこれらのプロジェクトによる雇用創出効果も期待している。この方針に最も積極的なのがトゥスク党首・首相で、EUに対しても、(財政規律を維持を前提として、その上でどうせ財政支出を行うならば)社会保障の給付額の強化よりも、インフラ整備や教育事業といった公共投資をもっと重視した支出を行い潜在需要の増大と雇用創出を図り、その一方で官僚主義の打破により社会保障の積極的な効率化をして行政事務コストを大幅に減らすべき、との考えを表明している。資金は財政支出のほかに欧州連合(EU)からの莫大な補助金がすでに確保されており、これはGDPを1%以上押し上げていると言われている。こういった潤沢な資金を背景に国内の汚職や利益誘導から無駄遣いが起きるのを防ぐため、公共事業の案件の選択、優先順位の決定、実行においてポーランド政府内部の監査機能のほか、日本には存在しないポーランド国政オンブズマン制度(RPO)やEUの執行機関である欧州委員会(EC)などによって厳しく監督されている。 ポーランドを大きな潜在市場と見ている西欧諸国にとっても、EUが拠出する補助金を自分たち純拠出国からの投資と考え、同国のインフラを整備することによって生じる大きな需要に対して自国の製品やサービスを売り込むことで利益を得られるだろうという皮算用がある。いっぽう、実質減税となる制度構築を行ったため2009年度は減収が原因で政府の財政赤字が拡大しており、この点の改善が必要とされているが、2011年10月に予定されている総選挙を控えて同党は拙速な大増税は避け、それまでEUの他国と比較して低率だった消費税率を1%だけ引き上げるなどして、世論の動向を測りながらの慎重な増税策を採っている。 なお、同党は2007年の総選挙で目玉政策としていた個人所得税の定率税化(いわゆるフラット・タックス)について、2011年の選挙では全く言及せず、事実上この政策は撤回した。このように同党は、オーストリア学派や新古典派に見られる急進的自由化路線からの脱却を示している。 欧州通貨統合に積極的で、共通通貨ユーロのできるだけ早期の導入を目指しているが、いつ導入するかよりも自国通貨ズウォティをユーロへ固定する為替レートをいくらにするかが重要であるとし、ユーロ導入時期およびその前段階の固定相場制導入時期については明言を避け、慎重な態度を見せている。
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